劇場公開日 1954年9月14日

二十四の瞳(1954)のレビュー・感想・評価

全15件を表示

5.0ものの本質を理解して、尚、語らない大石先生

けして、戦争反対、言説を尽くして語らない大石先生、子供たちに日常の幸せを願っている、貧しい家の子供が学校を辞めて仕事に、何もしてあげられないけど話しを聞いて傍にいてあげることしかできないと、正直故に、軍国教育に染まる同僚、上役についてゆけず、退職、体制に従順であれば苦もなく軍国教育をし、戦後誤った教育であったと教科書を黒で塗りつぶして民主教育を恥知らずに語る教師、大人たち。横並びの発想と平均であることしか判断できない凡人を批判しているような、そんな国家、教師、大人たちの犠牲になって亡くなった子供たち、全盲で帰還した子供のエピソードに涙が止まらない、柔らかな瀬戸内海の風景がそれとなく平和な日常の尊さを語っている。
単なるお涙頂戴の反戦映画ではなく、日常にある、価値判断、取捨選択が平和を維持することを警鐘している。

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全国連加盟国不可侵条約締結、武装中立主義、多様性男女平等自由主義、5名作4良作3いい作品なので他は2以下です。

4.5木下恵介の「船」

2023年10月3日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

舞台が小豆島で、山や海、白い砂浜など自然背景を存分に活かした構図は言うまでもなく、和船、漁船、観覧船など船の描写が多くあり、櫓で舟を漕ぐシーンや出征のシーンで風になびくテープや船に揺られる人物を写したショットなど、どれもとても美しかった。
映画の中で年を取っていくでこちゃんの役作りは言うまでもなく、子ども達の顔も皆それぞれ個性があり味わいのある顔でよくキャスティングしたなあと感心するばかりだった。

劇中ではメインテーマとして「七つの子」が事あるごとに歌われる。画やストーリーと相俟ってグッと来るシーンもあるんだけど、あまりにもしつこい(しつこすぎる…)。俳優の声を使ったバージョンもあるが、基本はプロの児童合唱団が歌ったと思しきもので、もう歌が上手いわ、伴奏でハーブがボロンボロン鳴るわでなんとも言えない心地になった。更に劇伴には「七つの子」に加えて、誰もが知る童謡がキーを変えたり拍子を変えたり楽器を変えたりと様々な演奏のバリエーションでこれでもかと執拗に繰り返される。ニュアンスに合わせて使い分けていたとは思うけど、貼っていて分かんなくならなかったのかなあと思う程乱用されていた。

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抹茶

4.5仰げば尊し

2023年8月19日
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子供時分に反戦色の強い推薦図書として触れた記憶はあるが、改めて観て、こんな映画だったのかと感じるところが多い。反戦などは時代背景にしか過ぎない。いかなる時代においても通底する生きる不条理と尊さを描いている。
歌をめざすマスノに対する親の言い分に対して、立場をわきまえた上で搾り出す最大限の弁。安っぽい熱血やカタルシスはなく、純然たるひとりの人間の真摯な姿がある。一方では恵まれぬ家庭環境に妥協を受け入れるしかない生徒もいる。無情な結末。先生などと言われても、どのようにして正解を示すことができようか。社会に疑問を呈すれば逆風を受け、教え子が風潮に侵されゆくのを防ぐこともできず、最後は受け入れ難き結果の前に無力に打ちひしがれる。夫も奪われ、余裕も失う中起きる悲劇。青い柿をもいだ子を責めず弔う姿に涙しかない。
人生を嘆き憂いて泣き虫先生となっても、目の前に新しい子供を任せられれば、また向き合い始める。この世がいかに暗くても、光もまたあることを心の中に留めておけば、前に進むこともできる。

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Kj

4.5最良の日本映画の一本

2023年5月29日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

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もーさん

4.0恩師との出会い

2023年2月21日
PCから投稿

小説を原作とした
木下惠介監督のこの映画は
古い日本の姿を見せている。

「仰げば尊し」
それは 子供達を照らす光

物語は小豆島を舞台に
新任の教師が戸惑いながらも
子供達と向き合う。
子供達は真っ直ぐな眼差しで
教師を追い慕う。
戦前、戦中、戦後と物語は進み
それぞれ、道は分かれていく。
二十四の瞳に映っていたものは
大きく変わってゆくが
ただひとつだけ
師への恩は変わらなかった。

恩師との出会いは
人生の宝である。

木下惠介監督の演出は
映画を通じて 心に温かいものを
スッと、差し込んでくれる。

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星組

4.0反戦映画でした

2023年1月16日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

初めて鑑賞。純粋でまっすぐな人が損をする時代でした。子役のセリフがよく聞き取れないのが残念だった。でも自分の歳のせいかも。高峰秀子の演技が秀逸、時に歳とってからの。ラストシーンは泣ける。

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あっちゃんのパパと

4.5反戦

2022年8月13日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

今年も終戦(敗戦)の日が近づいて来ました。
世界情勢も平和ボケしていられない様相です。
戦争反対を静かに訴えるこの映画を思い出しています。

1954年(昭和29年)木下恵介監督・脚本。原作・壺井栄。
香川県小豆島を舞台にした、女性教師と十二人の教え子の、
悲劇と心の触れ合いを描いた映画です。
この映画は黒澤明監督の「七人の侍」とキネマ旬報のその年のベストテンを争い、
一位に輝いたそうです。
その秘密が少し分かった気がします。

1928年(昭和3年)
大石先生(高峰秀子)は、テーラードスーツの洋装で、真新しい月賦で買った自転車に
颯爽と乗り、小豆島の岬から遠く離れた分校へ赴任してきます。
(このシーンは覚えています・・・春風のように若くて元気いっぱいの大石先生)
大石先生を迎えるのは十二人の分校の一年生。
十二人だから瞳は二十四。(これが題名の由来です)
大石先生の分校での授業はたった半年で終わってしまいます。
男の子のいたずらで仕掛けた落とし穴に落っこちた先生は、アキレス腱を断絶して、
入院してしまうのです。
そして4年後、教え子たちは本校の生徒になって、再会です。
そして卒業までの三年間。
先生と生徒の絆は深まります。
修学旅行の金比羅山。そこで写した記念写真は、なによりもかけがえのない思い出。

こんなに、お歌が多かったんですね。
まるで「歌う昭和史」
七つの子、荒城の月、浜辺の歌、金毘羅船船・・・
フルコーラスで、かなりの時間が割かれます。
特に「七つの子」は事あるごとに歌われます。この映画のメインテーマ曲ですね。
それと「仰げば尊し」・・・高峰秀子の演じるのは先生ですものね、
学校を象徴する、昔の歌で、今は殆ど歌われないですね。
そして戦争が近づいて来て、軍国主義が盛んになります。
すると軍歌が、次々と。
昭和の十年代は軍国主義一色。
「戦争に行って、死ぬな!!」と、考える先生は、
遂に学校を辞めてしまいます。

この映画、
子供たちも大石先生もポロポロ、ポロポロ泣きます。
ともかく泣く場面の多さには驚きました。
肺結核になって、死ぬ間際の教え子と、ただただ手を取り合って泣きます。
修学旅行の金比羅山で、再会した教え子の苦労を思いポロポロと泣きます。
寄り添うこと、何もできなくても、ともかく教え子が愛しくて愛しくて泣きます。

きっとこの映画の公開された昭和29年。
敗戦後9年の日本人は泣きたかったんですね。
戦死した夫を、息子を思い泣きたかった。
飢えて栄養失調で死んだ幼子を思い泣きたかった。
満洲に置き去りにした乳飲み子、
シベリア抑留から帰らぬ夫、
あのひもじかった学童疎開の記憶、
泣きたくて泣きたくて・たまらない・・
そんな時代、人々の琴線を痛いほど刺激したのではないでしょうか?

大石先生の末の女の子も飢えて、柿の木に登り、落下して亡くなりました。
気絶する大石先生・・・泣く気力もなくて崩れ落ちました。
(そして夫も戦死です)

大石先生と二十四の瞳をした教え子たちは、
苦しかった日本人、
辛かった日本人、
負けても、だからと責められる日本人・・・
みんなの代わりに泣いてくれました。
今観ると古臭いけれど、大事な映画史を飾る一本です。

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琥珀糖

5.0叙情性と記録性の調和が生む、静かなる反戦映画の感動と美しさ

2021年10月28日
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鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館
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Gustav

4.0戦争の悲劇と平和の尊さ

2021年7月4日
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ジョニーデブ

5.0おなご先生

2021年3月3日
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 映画を観て初めて泣いたのがこの作品だった。何故か小学校のときの先生が授業中に見せてくれた。‘アカ’って何?と誰かが質問したような記憶もある。当時はこれが反戦映画、反戦小説だと気付かずに、単なる牧歌的な学園ドラマとしか思っていなかったのだが、歴史を学ぶにつれて徐々にその価値を理解していったものでした。子供にとっても前半の先生の家に押しかけるシーンでは泣いてしまった。

 高峰秀子演ずる大石先生が純粋すぎるため、「戦争反対」を口にしなくても生徒を戦争に送り出したくないという気持ちに心打たれました。生徒の一人まっちゃんも重要で、修学旅行中に偶然先生と出会ったり、終盤復職した先生のクラスにも・・・という映画ならではの偶然性に涙してしまいます。また、全体を通して貧困な家庭や庶民性を前面に出したため、平和を強く求めた作者の想いが嫌味なく伝わります。

邦画のオールタイムベスト上位

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kossy

3.0興味深いけど共感は出来ませんでした。

2020年12月14日
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鑑賞方法:VOD
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dpac2005

5.0日本人が日本人である限り本作は名作中の名作であり続けるでしょう

2019年8月26日
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鑑賞方法:DVD/BD

もう冒頭から涙腺が緩み放し、終盤は泣き通しです
お話は忠臣蔵並みに日本人なら誰でも知っている内容です
それでも映像を観た途端にこうなるのです
物語は小豆島の小学生の新入生と新任先生の交流を昭和3年から昭和21年、1928年から1946年の18年間を描くだけでこれと言った事件も出来事もありません
それでも観始めればエンドマークがでるまで微睡むことなく釘付けになり感情を揺さぶられるのです

この涙は一体何の涙なのか?
それがわからないのです
悲しいからでも、可哀想だからだけでもないのです
子供のころへの郷愁もあるのは確かですが、それでこれだけの涙がでるものでしょうか?
共感の涙と言うべき涙なのでしょうか

本作を観て外国の人が同じように泣くかというと、それはないでしょう
彼らが観ると前半は冗長に過ぎるし、後半はイタリア映画の戦前のファシズム党の有り様との類似による反戦メッセージを読みとれるぐらいではないでしょうか

本作は静かなる反戦映画とも言われます
確かに監督の製作意図に含まれてはいるでしょうが、それは決して主題ではなく結果としてそうなっているというべきものです

アカとかの戦前の思想統制のエピソードもありますが、21世紀の現代人の目からみれば戦後に分教場に復帰した先生の背後の壁に張り出された習字の文字はヘイワ日本です
右から左への違いだけで思想統制はあるのです
本作の主題はそこにはありません

小学校の卒業式で仰げば尊しは歌われなくなって長くなります
学校によっては国旗も無く、君が代も無いところもあるそうです
90年以上昔の日本は21世紀の子供達からみれば、どこか遠くのアジアの国の物語にみえるかも知れません

そんな右や左の思想を子供達に洗脳する機関が学校と言えばそれまでですが、そんなことは本作には全く関係ないことです

本作の主題は別のところにあります
それは日本人への讃歌です

貧しい暮らし、将来への希望、長じてその希望が破れる、それでも山も海も昨日と変わらずそこにあるのです
幼い友はいつしか壮年になり、家業に精をだし、将来の希望は叶わずとも今を幸せに生き、あるいは死に、あるいは身体に障害を負い、辛い思いをして孤独に暮らし、あるものは母になっているのです
日本人の暮らし、生活、物事の考え方、感じ方
それら全てへの讃歌です

小学校の唱歌、子供達の歌声は90年たとうとも日本人の情操のなかに奥深く刻みつけられているのです

新任の大石先生が子供達と汽車ごっこを唱いながら遊ぶシーン
それを一目観るだけで泣きそうになるのはそれなのだと思うのです

日本人が日本人である限り本作は名作中の名作であり続けるでしょう
忠臣蔵がそうであるように

もしも本作が評価されないような未来が訪れたとしたなら、その時の日本は最早日本人とは言えない日本人の国に成り果てているのだろうと思います

高峰秀子の演技力の凄さ、木下惠介の演出の見事さは筆舌に尽くし難いものです
冒頭の新任時代の大石先生の輝くばかりの初々しさ
そして終盤の40歳位の歳に過ぎないのにあえて定年間近の様に老けた様子に卒業生達の目に見える姿として演じ撮らせたその対比
本作の演技力と演出力は舌を巻くしかありません

日本人の心情の琴線を直接震わせるものです
日本人にしかわからないものがここにあるのだと思います

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あき240

3.0期待しすぎでした

2019年1月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今の眼で見てしまうと、冗長でウエットに感じてしまいました。

苦手な昭和を観てしまった、という印象です。
だいぶ克服したつもりだったのですが、まだまだ修行が足りないのかもしれません。

もしかすると、唱歌が多いのが気になったせいでしょうか??

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凪

5.0・春のシーンがカラーだったらなぁ ・小さい子どもたちの本気の走り方...

2017年11月9日
iPhoneアプリから投稿

・春のシーンがカラーだったらなぁ
・小さい子どもたちの本気の走り方がかわいらしい
・初めて観た時は子どもの成長にいちいち感激した
・まっちゃんのシーン以降は泣きっぱなし
・贈り物で号泣

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小鳩組

5.0あの世でも鑑賞したい

2017年8月20日
PCから投稿

泣ける

悲しい

幸せ

中国電力の本社屋内にある500人規模?のホールで1995年頃開かれたチャリティー上映会で鑑賞しました。
満員でした。

同窓会で出征時に失明した元生徒が幼い頃の集合写真を手に取り、
あらぬ方向を指差しながら写ってる一人一人の同級生たちの名前を挙げる場面では感涙しました。
後に文庫でも読みましたが映画の方が素晴らしい。
リメイク版も観ましたがオリジナル版の方が素晴らしい。
時代は違えど幼き頃の心象風景を鑑賞者に想い出させるだろう。

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ぺさま