鉄男のレビュー・感想・評価
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塚本晋也監督の脳みそには鉄がぶっ刺さっていると思う
鉄男たちの造形は言わずもがな、美術も凄いし、コマ撮りも面白すぎる。
自主映画はこういう風につくらないといけないんだよな…「パッション」
バブル絶頂の時に、サラリーマンが鉄男になる物語が語られるとはどういうことなんだろう。そこには労働/人間観のアンチテーゼがあると思うし、逆に物語が半ば霧散して造形・美術・撮影に特化され享楽的な表現がされていることは時代性なんだと思う。
私は現時点で塚本晋也監督作品を「男の子の映画」だと考えている。その善し悪しはどちらもあるが、私は「大人の映画」がみたい。
今なお、熱を帯びたカルトムービー
迫力あるわ。やっぱり。
約30年ぶり(笑)に観ました。わけがわからなかったんだけど、とにかく、すごくて、3回以上観た記憶があります。
で、長い年月を経て見てみたら、昔の映画を再び見たというなつかしい感覚はあまりなくて、やっぱりすごくて新鮮でした。
オープニング、田口トモロヲが冷や汗をためて、もがきながらのシーンにTETSUOという電光文字?が入るところからして好き!🤣
伝説の股間ドリルもすごかったです。あんなに何度も見せ場があったとは。。。
監督、脚本、制作、撮影、照明、美術、どれも塚本晋也。頭に描いたビジュアルをそのまま、思う存分、手間ひまかけて「表現」したんだろうなあと思います。
塚本晋也氏は、楳図かずおさんが結構好きみたいで、以前、「鉄男」は「わたしは真吾」(楳図かずお作)に直結するものがあると言われてました(ネットで読みました)。「わたしは真吾」はといえば、産業ロボットが人間のような意識を持つ話だったはず。(昔、読んだが詳しいストーリーは忘れている) 鉄男は人間の一部に鉄片が生えてきて、どんどん鉄に浸食されるけれど、「わたしは真吾」は、金属(ロボット)が先にありて、人間化していく・・・と。
塚本晋也氏は「ウルトラQ」も好きだとか。確かに。悪夢を見ているようなあの恐怖。鉄男に通じてますよね。
メタリックな音、胸にじんじん響きます。当時、サントラ?のようなものを買って、聴きまくりました。
一時、小鉄というハンドル名にしたこともありました。😆
鉄に侵食される男
『MANRIKI』観たら、この映画を思い出し、2回目の観賞です。
同じくカルト映画です(笑)
鉄に侵食されていく男…
クローネンバーグの影響を受けてるんじゃないでしょうか?
1度観たら忘れられない独特の世界観(笑)
白黒映画ですが、白黒で正解だと思う。
ストップモーションも取り入れてて、カルト度を上げてます。
『イレイザーヘッド』の影響も、あるんだろうな…
ジャンル分けしたらホラーに入ると思われます。
終わり方も最高だなー(笑)
時間も67分、さらに最高だなー(笑)
カルトっぽい(笑)
PS.塚本晋也さん演じる“やつ”は遠藤ミチロウさんに似ている(笑)
スタークラブのヒカゲさんのソロアルバム『CANCER』のビジュアルは、この映画からの影響では?
知ってる方そう思いません?
モヒモヒ〜
ある日を境に身体が鉄に蝕まれていく男。全編通してくだらない、実にくだらないのだが、一生懸命に演じている俳優さん達の熱量が凄いぞ。これぞDon't think! Feel、脳みそパッカーン、アタオカ映画の決定版です!「モヒモヒ〜」「・・もしもし」「モヒモヒ〜」「・・もしもし」電話のやりとり好きw
【ノンストップグロテスク&エロティックホラー。全編に響くインダストリアルミュージックが狂気の世界を増幅させている映画でもある。】
ー 存在は知っていたが、初鑑賞。
グリッジノイズ、メタルパーカッションが鳴り響く中、男はグロテスクな身体になっていく・・。ー
・放出される、熱量が半端ない映画である。
・モノクロームで撮ったからこその、メタリック感溢れる男(田口トモロヲ)の異形に変容して行く姿。
・ドリルペニスの見せ方や、男の連れ合いの女(藤原京)の狂気性。
ー 男がなぜに、鉄男になって行く理由など、途中からどうでも良くなるほどのインパクトある映画である。
この作品、劇場で観たかったなあ・・。ー
<ナンダカ、ボク、イケナイエイガヲミテシマッタキガスル・・。>
■今作は、塚本晋也監督自身が美術も担当しているようであるが、どのようにあのメタリック感溢れるグロテスクな衣装?を作ったのであろうか・・。
エグい!イタい!グロい!
エグくてグロくてエロくて痛々しい、鉄が錆びて腐蝕するメタリックな金属音がガンガン、キンキン鳴り響く異様な光景とド変態極まりない塚本晋也のブッ飛んだ感覚。
まだまだ不細工な特殊効果がリアルに不気味で、手作り感がまたセンス良く作品全体に活きている。
石橋蓮司の出演にビックリ、そんな役者としての柔軟性が素晴らしい、意味不明な役柄ではあるが。
物語はイマイチ意味不明で二人の対決も何が起きているのか分かりずらいが、映像を見ているだけでまず飽きはしない。
これ以上分かり易くても駄目だ
訳の分からなさと脈絡を潰しにかかる全篇のハイテンションの塩梅が実は冷静に上手く釣り合っている。
これ以上分かり易くても駄目だ。
大友克洋のアキラが1982年で本作が1989年か。
これが日本の戦慄の“アイアンマン”
塚本晋也監督1989年の作品。
塚本監督の名を世界にも知らしめたカルト作。
何の予備知識もナシに見たらまずは置いてきぼりを食らうだろう。
自分の足に金属を刺す男。車に跳ねられて死亡する。
あるサラリーマン。自分の周囲で奇怪な事が起こり始める。頬に鉄のトゲが。身体が機械化した女に襲われる。そして自分の身体も鉄に蝕まれていく…。
その衝撃さたるや! 今見ても色褪せない。
『電柱小僧の冒険』は鮮烈な『ウルトラQ』風であったが、そうでありつつ、東宝往年の特撮怪奇人間シリーズをより強烈にした感じ。
もし幼少時に『マタンゴ』と本作を見ていたら…。
痛々しい描写、グロエロはかなり強烈。
話はあって無いようなもんだが、段々と分かってはくる。
ある復讐で鉄の身体になっていくSFチックなサスペンスというより、日本的な呪いや怨念が込められていると感じた。
ラストは両者の対峙、田口トモロヲと塚本晋也の怪演、畳み掛ける音楽、ビジュアル、演出!
受け付けない人は一切受け付けないだろう。
しかし、塚本監督の恐るべき才気は本作さながら脳裏を侵食した。
今や“鉄の男”と言うと超人気のあのヒーロー。
日本にも居たのだ。戦慄の“アイアンマン”が。
鉄とはカネとも読むのだ
カラー時代の白黒映画で思い出すのは
1977年 イレイザーヘッド
1980年 エレファントマン
1980年 レイジングブル
1984年 ストレンジャーインパラダイス
1989年 本作
くせ者作品ばかり
本作はその最右翼だろう
一番似ているのはイレイザーヘッドだと思った
ストーリーには大して意味はない
マインドセットで見えるものが違うということではないだろうか
都内の廃工場にも見えるスクラップ工場
付近の古い住宅街
これらは30年後の21世紀の現在はどうなっているだろうか?
すべてタワーマンション街に変貌しているのだ
1989年バブル真っ盛り
金にまみれて人間が人間で無くなっていくそんな時代
人間の精神が金に浸食されて、金が全てであり、金の力で闘争する世界に変わっていく
男女の関係もまた金にまみれてしまう
鉄とはカネとも読むのだ
ラストシーンの雄叫びは金の力でジャパンアズナンバーワンと高揚しているあの頃の日本人の姿そのものなのだ
そして21世紀の私達は知っている
バブルは崩壊し、30年以上の喪われた年月が続いて来たことを
無敵感に高揚しながらも、これは異常なことなのだという自覚はある
自らも何か得体の知れない怪物になってしまったのうにふと我に帰る瞬間もあったのだ
そして大崩壊の予感に震えてもいたのだ
それを本作は映像に写し取っているのではないだろうか
衝撃です。
吉祥寺のUPLINKで鑑賞。
前から気になってていつか観たいなーと思ってたので、近所のUPLINKで上映してくれててちょうど良かった。
ストーリーを楽しむ作品ではない。
とにかく映像と音の力を監督の感性の赴くままに形にした、という感じ。その「形にする力」に圧倒されました。こんな表現があるのか・・と。
この作品が作られたのは、バブル真っ只中の1989年。
現在では当たり前になっている表現手法も、この作品から生まれたものがあるんだろう。それだけ、後の多くのクリエーターに影響を与えたんだと思う。
観終わった後に、ズッシリと心に重しが残るような作品は、そうそう出会えるものではない。傷付けるというか、爪痕を残すというか。まさに芸術。
もっと若い頃に観たかったな。。
いいとか悪いとかではなく
すごい映画をみてしまった。。30年前とは思えないほどの写し方。実験的だったのかな。静止画をつなげる技法とか。白黒だからこそ金属感が安っぽくなかった。話は無茶苦茶だけど。チンコドリルはギャグ??ウケ狙いでないのならシュールすぎ!!そこは有名なシーンと聞いていたが期待を裏切らなかった。塚本晋也若い!!この年でこれを撮るとはね。
今尚全く色褪せない怪作
シネマシティの30周年記念リバイバル上映を観てきました。
リバイバル自体は時々やってたりしますが、これだけ大きなスクリーンでみる機会はなかなか無いでしょう。しかも極上音響上映です。
少し遠いのですが足を伸ばしてきました。
予告など入らずいきなり始まるのも良いですね。
それにしても久しぶりに見る「鉄男」は、やはりとんでも無かった。
ギラギラとした白黒の世界、怪音とも異音とも取れる音楽、襲いかかるかのような映像表現、それらが絡み合ってできた作品。
サイバーパンク作品で、そこにエログロと血吹雪とホラーと愛が合わさっています。
きっと開始2〜3分で、これが尋常じゃ無い作品だと感じるでしょう。
田口トモロヲと塚本晋也の怪演にも魅せられますし、ストップモーションを多用した映像にも目が離せなくなります。
初見だとその映像と音に圧倒され、訳がわからなくなってしまうかもしれません。
それでも最後には、ズッシリと残るものがあると思いますよ。
30年経っていますが、これだけの熱量のある作品は余り見かけません。
今尚全く色褪せない怪作、是非一度体感してほしい作品です。
割と難解。
伝説のカルト映画ということでいかなるものかと思ったら、意外としっかり考えないと理解できないような難解なもの、じつに面白い作品でした。
塚本監督映画のいいところは音というものが異常なほど際立っていて、耳で楽しむことができるところ・・・。
野火の塚本作品という事で鑑賞。
噂には聞いていたが、これ程までに強烈な映画だとは…。
始まって5分、刺激的な映像と異音ともいえるBGM、そして独特の編集も相まって頭がくらっくらになりました。
でもこの不快感が、不思議と快感にもなってるんですよ。
正に主人公が血を流し痛みを感じながらも、どこか性的快感を感じているように。
一種の中毒ですね。
このブッとんでる作品にいつの間にか飲み込まれ侵食されている感覚。
これこそ、人を惹きつける最大の魅力なのかもしれません。
肉体と精神を侵食されていき、生きたまま人間でない何者かに変わっていく恐怖。
これは野火にも通づるテーマ。
塚本監督の原点にして到達点を感じた一本でした。
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