「遥かなりアンコールワット」地雷を踏んだらサヨウナラ johnny B badeさんの映画レビュー(感想・評価)
遥かなりアンコールワット
この映画を観て、安易に観光などで「アンコールワットに行きたい!」などといえない気がしてきた。同じ戦場カメラマンの故・鴨志田穣氏が「かつては命を懸けて訪れたアンコールワットが…」と嘆いていたが、その気持ちはこの映画を観ると少し分かる気がする。
この映画を評して「(戦場の狂気にシャッターを切る)主人公に感情移入できない」「何のためにそんなこと(戦場カメラマン)をするのか理解できない」というものがあるが、作品の描写不足、表現不足でなく、イチノセタイゾーに対しての想いであるならば、「それで当たり前」。
彼らに言わせれば「お前らに分かってたまるか」だと思う。
自分がいたばっかりに塹壕には入れなくて死んだ兵士に、同じく戦場カメラマンとして活躍したていてとなりで亡くなった仲間に、自分を慕ってくれ、地雷で吹き飛んだ小さな子どもの亡骸に。
乾いたシャッター音を容赦なく浴びせかける、「戦場カメラマン」という職業。それを選んだ彼らの覚悟や運命を描いたのがこの作品なのだ。
友人の結婚式のシーンではしゃぎまわるように写真を撮り続けるときのnikonのシャッター音が、戦場とは違って聞こえるのは気のせい…でしょうな。
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