女囚さそり 701号怨み節

劇場公開日:

解説

“さそり”シリーズ四作目。元過激派学生運動家に一度は犯罪者的意識で心を許したさそりが、その男に裏切られた怨念に燃え、刑務所を脱走して復讐を果すまでを描く。脚本は「前科おんな 殺し節」の松田寛夫と神波史男、監督は脚本も執筆している「戦国ロック 疾風の女たち」の長谷部安春、撮影は「実録・私設銀座警察」の仲沢半次郎がそれぞれ担当。

1973年製作/89分/日本
配給:東映
劇場公開日:1973年12月29日

ストーリー

刑務所を脱走したさそりこと松島ナミは、児玉警部の執拗な捜査により逮捕された。だが、ナミは護送される途中、車を電柱に激突させ、ふたたび脱走した。傷を負ったナミは、ヌード劇場の便所に潜んだ。そのナミを見つけた、照明係をしている工藤は、人目のつかない舞台の下へナミを抱きかかえ傷の手当てをした。元過激派の学生運動家だった工藤は、警察の凄絶なリンチにより片足を不自由にさせられてしまっていた。そして、その時の刑事が児玉だった。二人はいつしか、犯罪者意識で通じ合い、安心感を覚えていた。しかし、そんな二人に嫉妬した工藤の愛人・みどりは警察へ通報した。児玉は工藤を逮捕し、リンチを加え、ナミの居所を白状させようとするが、工藤は頑なに拒否するのだった。釈放された工藤は、ナミと二人で児玉の家を襲った。しかし、児玉は留守で、妻の君代だけだった。その君代は逃げようとして、窓から落ちて死んでしまった。怒った児玉は大捜査網を張り、工藤を逮捕。そして、工藤の母・トメをだしに使い、ナミの居所を白状させてしまった……。ナミは再び女子刑務所へ送られ、死刑囚専用の第四独居房に入れられた。ナミは刑務所長・中曽根たちにリンチを加えられた後、処刑されることになった。児玉たち刑事や法務省役人の立ち合いで処刑の準備はできた。だが、ナミは看守に連れられて行く途中、逃亡し、児玉の車のトランクに忍び込んだ。所内がナミの脱走で騒然としている時、児玉は刑務所を出て、人気のない埋立地に着く。児玉は自らの手でナミを処刑すべく、看守を使ってナミを脱走させたのである。児玉はナミを引きずり出し、自分で作った絞首刑台に乗せた。しかし、ナミは逆に、ふいをついて児玉にロープをかけ、殺してしまった。ナミは、その足で、工藤のいるヌード劇場へと向った。死んだと思ったナミを見た工藤は、ナミに抱きつくが、ナミは手に待った短剣で工藤の胸を突き刺す。やがて、ナミは工藤に心を許したことを後悔し、人間不信の逃亡生活を始めるのだった。

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映画レビュー

5.0警察権力が幅利かすデストピアと愛した男に再び裏切られる女

2020年8月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

梶芽衣子の代表的なシリーズで、最後のさそり役を演じている。

殺人と脱獄などで追われる、さそりことナミが、田村正和扮する工藤に匿われて心通わせるが、鬼警部児玉の罠に落ちる。

過去三作を独特の映像観で作り上げた伊藤俊也監督が降板して、日活時代からコンビでもある長谷部安春監督に代わりている。

シリーズ全作に関わっている脚本家による内容だが、伊藤監督のようなアングラ怪談調の描写がない分、作品全体のムードもかなり違う。長谷部監督は東映の環境に慣れてないからなのか、演出自体は重めで上出来ではないが、悲劇的な雰囲気は悪くない。ちなみに梶芽衣子は、さそりシリーズでは本作がお気に入りとのこと。

冒頭の警察が式場に強引踏み込むところから、分かるように、警察権力が、不気味に幅を利かす世界になっており、取り調べ時の拷問による冤罪なども日常的になっている雰囲気。

警察官が、女性看守長をレイプして従わせたり、容疑者に熱湯をかける拷問などを行なって障害を追わせたり、自分の手で死刑執行する為刑務所から連れ出したりと、何処の無法国家だ?な場面が続出。過去三作でも警察や刑務官は、悪辣に描かれていたが、ここまで酷くはない。

さそり役梶芽衣子は、変わらずクールな強い目力が魅力的で、元運動家を演じる田村正和の敗北感に苛まれる悲しい男との絶望的な愛と裏切りが胸を打つ。

警察から再び拷問や母親の説得を受けて、心が折れてしまう工藤の弱さと悲しさが切ない。
ただこの場面演技過剰なところもあるのである程度リテラシーがないとギャグに見えるかも。ちなみに隣の席の若者は笑ってた。

そんな工藤を愛してしまった、ナミの最後の行動で、シリーズに落とし前をつけた梶芽衣子のさそり最終作。

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ミラーズ

2.5梶芽衣子はここまで

2019年12月6日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

監督はこれまでの伊藤俊也から長谷部安春に交代、主演の梶芽衣子もこれにて降板となった。
今回、さそりを執拗に追うのは警部の細川俊之、また、珍しくラブロマンスが用意され、相手は元学生運動家の田村正和。
梶芽衣子の表情が優しくなってきたのでしょうがないかな。

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いやよセブン

2.0復讐に生きる梶芽衣子「さそり」最終作

2015年10月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

怖い

興奮

近所の蔦屋に在庫が無かった為、長い間未見だった梶版「さそり」最終作。CSで鑑賞。
思ったけど、梶の台詞全然少ない。「眼」で演技する。
田村正和は若くいつも病気みたいな表情で演技する。彼の役は元学生運動の活動家。この人見てるとなんか行動が間抜けなんだよね、悪いけど。でも、頭脳明晰、運動神経抜群の「さそり」が惚れるストリップ小屋の照明係。細川俊之はサディスティクな元公安の刑事。
とにかく「サソリ」は人間じゃないよ・・みたいな感じ。
周りの男達が情けなく感じる。

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colt45SAA

3.0梶芽衣子の怨み節がたまらない

2015年2月13日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

興奮

萌える

梶芽衣子の見開きまくった目だけで上がる映画!
アクションシーンも素晴らしかったので、もう少し動いている梶芽衣子を見たかった。
公安や刑務所の人々が極悪だなのはお愛嬌。初さそりシリーズが4作目だったことに気づき、凹んだ。

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cani tsuyo
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