春婦伝

劇場公開日:

解説

田村泰次郎の同名小説を「ごろつき犬」の高岩肇が脚色「俺たちの血が許さない」の鈴木清順が監督した風俗もの。撮影は「愛しながらの別れ」の永塚一栄。

1965年製作/96分/日本
原題:Joy Girls
配給:日活
劇場公開日:1965年2月28日

ストーリー

中国北部の大荒野を、慰安婦の一団が運ばれていた。その中には、天津の売春婦宿で、日本人友田とめぐりあって以来、その愛を裏切られた娼婦春美も入っていた。春美は友田を忘れるため、自分からこの慰安所を希望したのだった。山間地にトラックがやって来た時、日本兵の中に三上上等兵の美しい瞳を見て、春美のすさんだ胸はやさしくゆすられた。その夜から春美は、七人の仲間たちと千人の兵隊を相手にするのだった。最初の男成田と名のる中尉にもて遊ばされた春美は、荒っぽい男の腕の中で友田との愛欲の日々を思い出し、成田を憎みながら悶えた。しかし、三上が成田の当番兵だと知った時、春美は愕然とした。春美は、真面目な三上をいつか自分のものにしようと愛情の炎をもやした。ある夜、成田が急用で司令部に行った後、春美は三上をひき入れた。春美の愛に負けた三上は、自責の念にかられた。この県域から数十キロ離れた分遣隊が八路軍の攻撃を受けたどさくさに、かねてから反軍思想を抱いていた宇野が、脱出した。一方三上は、春美との関係を上官にみつかり、上官の女をとった三上は、営倉入りとなった。そして春美もリンチを加えられた。がその時、県域は八路軍の夜襲にあい、三上は春美と共に八路軍に連れさられ、手厚い看護を受けた。だが再び県域に連れ戻された二人は、厳重に隔離され、部隊の体面を重要視した成田は、三上を殺そうと企てた。全てに裏切られた三上は、春美に手榴弾を用意させた。一つの手榴弾を手に、絶望した三上は、轟然たる音と共に命を断った。三上の傍に春美の死体がすがりつくように横わっていた、三上は戦病死、春美は黙殺されていた。唯、春美の同僚たちが薄幸な春美の思い出に涙するのだった。

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映画レビュー

3.5鈴木清順監督らしさはさほど感じられないが、ないというわけではない

2023年4月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

1965年公開、白黒作品
鈴木清順監督

原作は「肉体の門」の田村泰次郎の小説
本作は占領下の1950年に「暁の脱走」の題名で公開されたものに次いで、二度目の映画化

第二次大戦中の中国戦線における従軍慰安婦の物語
内容は、結局のところ戦場の売春婦の純情物語

主人公は原作では朝鮮人女性だが、本作では日本人女性に変わっているそうです
1950年の最初の映画化でもGHQの検閲により日本人に変更させられていたとのことです

鈴木清順監督らしさはさほど感じられないが、ないというわけではない
日本映画オールタイムベストのリストに入っているような作品ですが、力作であるのは納得しますがそこまでの作品かと問われると正直疑問です

日本人への批判的視線が快感になる人なら楽しめて支持する作品と思います

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あき240

2.5支那心中

2021年4月22日
iPhoneアプリから投稿

興奮

萌える

イメージ通り日本兵は偉そうで女性を軽く扱う、慰安婦として戦地に赴く日本の女性たちは商売と割り切って寧ろ明るく振る舞う姿が印象的でもある。

野川由美子の美しさが際立つ反面、ギャーギャー喚くだけの気が強い女でもあり、川地民生が演じる頭の硬いマジメ一辺倒な性格にイライラさせられる。

戦争の悲惨さや慰安婦に対する厳しい環境などが描写されることはなく、過酷な状況で男を愛する女、何を理想として困難に立ち向かおうとしているのか常に苦悩する日本兵の恋愛物語として。

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万年 東一
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