劇場公開日 1967年12月16日

「こちらのリメイクも検討してほしい」十一人の侍 こもねこさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5こちらのリメイクも検討してほしい

2009年8月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

工藤栄一監督の「集団時代劇アクション三部作」で、「十三人の刺客」と「大殺陣」は見ていたのだが、「十一人の侍」だけはなぜか見る機会がなかった。それが、今、旧東映直営館で行われている東映時代劇特集企画でようやく見ることができた。新宿バルトさんに深く感謝!、です。

 本作は、長年、心に高めていた期待感を少しも裏切らない、見事な快作だった。「十三人...」は組織的な暗殺計画、「大殺陣」は時代が呼んだテロという見どころがあったが、この「十一人...」は徳川という威厳への挑戦と反抗というところが随所に描かれているのが、とても興味深かった。集団時代劇におけるドラマの側面には、仇討ちモノというのが定番だが、この作品も一種の仇討ちでありながら、徳川側の陰険なやり口などでそこにたどり着けないもどかしさ、というのが丹念に描かれているのは、さすが名匠・工藤栄一監督、とうならされた。

 ラスト三十分近くの集団チャンバラアクションは、他の二本と同じく、凄惨さはすさまじいものだった。ただ、他と違ったラストシーンにちょっと爽快さが感じられたのは、この作品ならではだろう。「十三人の刺客」がリメイクされるらしいが、「十一人の侍」もぜひ、ハリウッドでもいいからリメイクしてもらいたい、と思う。

こもねこ