残菊物語(1939)

劇場公開日:

解説

2代目・尾上菊之助の悲恋をつづった村松梢風の同名小説を映画化し、溝口健二監督の代表作のひとつとなった傑作時代劇。5代目・尾上菊五郎の養子として周囲からもてはやされて育った菊之助は、自分の芸の未熟さを率直に指摘してくれる弟の乳母・お徳に恋心を抱く。ところが、ふたりの身分違いの恋に周囲は猛反対。家を飛び出してお徳と一緒に大阪へやって来た菊之助は、旅役者になって貧しい暮らしを送るが……。

1939年製作/142分/日本
配給:松竹京都
劇場公開日:1939年10月9日

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映画レビュー

4.0或る夜の出来事

2024年3月5日
iPhoneアプリから投稿

題名のキャプラ・クラシック名作を先に見ていた事から
なぜかこの作品と相似性を感じた

向こうはラブコメ、こちらは新派悲劇である

若い二人がここではないどこかへむかうが
結局育った場からはなれられぬ宿命

まあ、こちらは、

じぶんはいかに他者の想いにささえられてきたか
身勝手な若気の至りが、苦心惨憺の果てに
なんらかの自己覚醒に至るプロセスなんである

野暮はやめにして、
わたしは、親とケンカして家出、
しばし数日間さまよいながら、
銀座のシネマアーカイブで、
これをみ終わるやいなや、
思わず感激のあまりに、
母に電話してしまった
なんともだらしないヤツであった事を思い出す

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青樹礼門

5.0ミゾグチ ミゾグチ ミゾグチ

2024年2月16日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

お徳役 森赫子 助演女優賞

せかいのおとく

見に来ていた人 平均年齢 70才か

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SUN茄子

3.0道頓堀

2023年11月11日
iPhoneアプリから投稿

道頓堀の顔見せは今も行われているはずだが、これはすごい画角で迫力がある。その地位に立たされる菊之助の緊張感がこちらに伝わる。
おとくの声の高さと細さが印象的に残る。対比的に縁の下の生きざまは強く美しく描かれる。話としてはあまり好みではない。映像はさすがに古い。

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Kj

4.0“残菊”の意味は、菊之助よりもお徳の生き様についてだったのか…

2023年7月30日
スマートフォンから投稿

溝口監督の戦前作品を初めて観た。

この映画の骨子は、愛する男性を陰で支え、
その成功を見届けながら
ひっそりと消えていく女性の物語で、
良く有りがちな内容ではある。
しかし、
この映画の世界に引き込まれるのは、
計算され尽くした映像美が
作品の風格を醸し出しているためのように
感じると共に、
更に、溝口映画特有の長回しが、
私の思考を助ける装置として機能してくれた
ためとも思えた。
ただ、直近に観た「西鶴一代女」に比べると、
その長回しが
少し冗長に感じる箇所が見受けられて、
戦後作品までの発展途上的出来栄えにも
感じた。

この作品のストーリーは前述の通り、
男の出世に命まで捧げた薄幸の女性の物語
のようにも感じるが、
菊之助に比べて、
お徳の生き様は明らかに能動的である。
彼女の人生には、単なる犠牲ではない、
人を正しい道に導く
骨太な人生観を彼女に感じないこともない。

“残菊”という言葉を初めての知ったが、
菊之助が人生ギリギリのところで
見事に咲いたという意味よりも、
彼の成功のために、
ギリギリまで咲いて散ったお徳の生き様
のことだったろうか。
しかし、それでも、
当時の封建的な世界での犠牲者のような
お徳の人生だったとも
思わざるを得なかった。

それにしても最後のシーン、
公演前に見舞いに来た菊之助は
既に社会的な力を
有しているはずなので、
お徳のために、どうして
早く医者を呼ぶなりの手配をしないのかと、
こちらがイライラするほど、
作品の世界に取り込まれてしまっていた。

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