さらば愛しのやくざ

劇場公開日:

解説

80年代の新宿を舞台に若きやくざと学生との10年間に渡る友情を描く。安楽隆雄原作の同名小説の映画化で、脚本は「ラッフルズホテル」の野沢尚。監督は「恋子の毎日」の和泉聖治。撮影は東原三郎がそれぞれ担当。

1990年製作/105分/日本
配給:東映
劇場公開日:1990年11月23日

ストーリー

1980年、新宿。ジョン・レノンが暗殺されたその夜、裏町のバー・モビーディックに足を踏み入れた達也は、そこで悟郎というやくざに金を巻き上げられてしまう。数日後、再び店に足を向けた達也は今度は逆に必要以上の金を置いて店を後にした。それがこの二人の最初の出会いだった。翌年の夏悟郎と再会した達也は、自由な生き方をしている悟郎に次第に惹かれていく。悟郎は廃屋となりかけている古い唐沢病院の病室をアパート替わりに、異母兄妹の季美子と部屋を並べて住んでいた。季美子には実家に五才になる隆という子供がいた。そしてその父親は悟郎の属する村上組と対立する栄組の工藤だった。村上組のルートを使って麻薬を密売しようと企む栄組は、悟郎を罠にかけようとするが、偶然そのことを知った達也は悟郎の舎弟から場所を聞き出し、銃を携えて乗り込む。そしてそこで悟郎は工藤を射殺してしまうのだった。10年後、海外で仕事をしていた達也は悟郎の出所が近いことを季実子からの便りで知り日本に戻る。久しぶりに再会した三人は夏の終わりの海辺で子供のようにはしゃぎまわった。だが村上組では悟郎の留守の間、上部組織から派遣された坂田に実権が掌握され、麻薬を多量に扱っていた。そして高校生に成長した隆までもその中毒になっていた。悟郎の存在を邪魔に思う坂田はそんな隆を使って悟郎の命を奪おうとしていた。禁断症状となった隆によって銃弾をあびた悟郎は、雨の中達也に抱かれて死んでいった。そして達也は一発だけ弾の残った拳銃を手に単身で村上組へと殴り込んで行くのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.5Stand by me

2024年2月1日
Androidアプリから投稿

「カラオケ行こ!」を観に行った際、そういえば「さらば愛しのやくざ」も学生とヤクザの話だったなぁ。
なんて事を思い出し、何百本もDVDをコレクションしてるのにこの映画は持ってない事に気付いた。(VHSは有る)
のでその日その場でヤフオクより購入。
届いた翌日うン十年ぶりの鑑賞。

何故だろう、観ていると涙が溢れてきた。
ギバちゃんがお腹をちょっぴり切られるシーンで、笑いながら泣いていた。

陣内孝則、柳葉敏郎、相楽晴子、内藤剛志、室田日出男、田中邦衛、片桐竜次、大竹まこと、豊原功補、稲垣吾郎

このキャストだけで興味を惹かれる方も居ると思う。
どのキャラクターもピッタリハマっていて、それぞれ役に嵌った見事な演技を披露してくれる。
古い映画を見返すと当時は気にならなかったのに演技が大仰だなと感じる事が割とあるが、本作はそれが無い。
勿論役者の演技力も有ってだが、演出が上手いのだな。

和泉聖治監督はピンク映画で下積みを重ねた人気と実力の有る当時の日本のエンタメを支えた監督の1人だが、77歳の今でもドラマ「相棒」の監督をしている。
もはやベテランというよりレジェンドクラスの監督だが、この映画では若い二人の主人公を、若者らしく、格好良く演出しています。

本作はタンゴ調の劇伴も作品の世界に見事に嵌っていて、聴いているとなんだかウットリしてしまう。
そんな劇伴担当は当時から売れっ子の大谷幸氏。
まぁ売れっ子というのはマイルドな表現で、たぶんこの人は睡眠必要無い人です。
そうとしか思えない仕事量をこなす作曲マシーンです。本作公開年も他に2本の劇場映画の劇伴を担当しています。
アニメ好きな方ならもっと詳しいかも。

ストーリーは前半と後半に明確に分かれていて、前半は主人公二人の出会いと交流、そして大きな転機までを描いて、後半はその十年後を描いています。
この構成は正しいと思う。青春には終わりが有って嫌でも大人に成る時が来る。
青春は延長など出来ないのだよ。だからこそ価値があるのだ。

映画「スタンド・バイ・ミー」では死体を見に行くという少年達のひと夏の冒険を描いているが、死を身近に経験するというのは大人に成る為の通過儀礼だ。
本作の主人公である中馬達也にとって藤島悟郎との出会いは冒険であり、通過儀礼を経て青春は終わる。
十年後に再度冒険が始まるが、若者では無くなった二人は冒険のけじめを取る事になる。

このレビューのタイトルをどうしようかと観ながら少し考えていた。印象的で大好きなセリフも沢山有る。
が、エンドロールまで観た時、これしかないなと思った。

星4·5の評価は想い出フィルター入って加点している自覚は有るが、いいじゃないか。映画の感想や評価は人それぞれなんだから赦されるだろう。

この映画も冒頭では三角マークがどどんと出るが、ヤクザ映画じゃなく、任侠映画でもない。
青春映画の名作ですよと未見の人にはオススメしたい。

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MAKO

3.0当時このファンタジーを真に受けた私。

2021年8月4日
iPhoneアプリから投稿

再見。
快打「ちょうちん」87年、本作90年、バブル期。
確かにあった陣内孝則時代。
W大卒商社ヤンエグがヤクザに愛され生きる手応えと女を得て、でも失職はしないファンタジー。
当時これを私は現実にあると真に受けた気が。
稲垣吾郎の演技頑張ってます感は当時からか。

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きねまっきい

3.5薬中の稲垣吾郎

2018年10月24日
Androidアプリから投稿

28年前の映画を見直した。10代の稲垣吾郎は結構重要人物で設定されていた。稲垣にとっては俳優人生の初期の頃だが、10代にしてアイドルではない演技を見せつけていると感じる。

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salyu

4.0最高

2014年8月25日
Androidアプリから投稿

泣ける

悲しい

興奮

この作品は 当時のやくざ社会を美しく描いたものであり 現役ヤクザの方々も多くが絶賛、感銘を受けたものとなりました。

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jun
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