拳銃は俺のパスポート

劇場公開日:

解説

藤原審爾の原作『逃亡者』を、「帰らざる波止場」の山田信夫と永原秀一が共同で脚色し、「暗黒航路」の野村孝が監督したアクションもの。撮影はコンビの峰重義。

1967年製作/84分/日本
配給:日活
劇場公開日:1967年2月4日

ストーリー

大田原組と島津組は横浜を根城に勢力を争っていた。殺し屋の上村が相棒の塩崎と共に横浜に現われたのは、大田原から頼まれて島津を暗殺するためである。綿密な計画と確かな腕を持つ上村は、ある日、マンションの屋上からライフルで島津を射殺した。上村は直ちに凶器を始末し、塩崎と車に乗ると、羽田空港に向った。高飛びするためである。しかし島津組も黙ってはいず、二人は脱出寸前のところで捕われてしまった。だが、塩崎の機転で逃亡に成功した上村は、大田原の秘書金子の指示で、大田原組傘下の津川組に逃げ込んだ。ところが、それと知った島津組二代目が上村たちのいる渚館を取り囲んだため、脱出は不可能となった。そんな時、上村は渚館のウェイトレス美奈と知り合ったが、美奈は水上生活者からはいあがった薄幸の女で、上村は彼女の暗い面影に惹かれていった。美奈がダルマ船に食事の配達に行くことを知った上村は、ダルマ船で脱出することを計画し、船長を口説き落した。しかし、その頃、塩崎は津川に殺されていた。大田原は上村たちが厄介になり、島津組と手を組んだのだった。島津組はその代償に、マフィア団との密輸交渉権を大田原に譲った。塩崎の死と大田原の裏切りを知った上村は怒り狂い、必死にとめようとする美奈を振り切って、三組の待つ埋立地に向った。上村は手製の時限爆弾を手に持っていた。ちょうど夜が明けようとする時刻、殺し屋や大田原、島津組二代目、津川を乗せたベンツが、上村に向って疾走してきた。しかし、上村ははねとばされながらも、強磁力の時限爆弾を投げつけた。そして数秒後、ベンツはふっ飛んだが、上村は、朝日が昇りはじめた埋立地を、虚し気に去っていった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0シビレたね。

2023年7月28日
PCから投稿

こんな感情移入しにくい 主人公を設定し、ただ「生きのびる」という主人公のモチベーションだけで映画を作るのはとても難しいと思うのだが。それができている珍しい作品だと思った。脇役で出てくる女性の境遇がそのテーマをうまく説明するのに機能していて 効果的だった。ヤクザの親分が寝ながら 子分に指示するところだけで すんげー 頭がいい ヤクザだと思わせるとこ なんか 脚本が冴えていたと思った。ドラマが 途中で 空中分解することもなく最後まで面白かった。 なんといううか・・ 低予算作品でなぜか 脚本的 にも低予算 ムード に満ちまくっていかにも軽い感じの映画だが、私はこれをきっと一生忘れないと思う。
藤原審爾しんじという作家の名前は恥ずかしながら初めて知った。 とても 幅広く 多くの作品を書いていて映画にされた作品も多く 評価も高い。 これから 原作を読んでみるか 映画を見てみるか・・ とても楽しみだ。調べてから見たら 映画化された作品の数が半端ではない 。キングよりも多いんじゃないか?

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タンバラライ

5.0ベレッタは殺し屋ジョーの旅券

2020年3月21日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

新文芸坐の宍戸錠の追悼特集にて。

個人的には、日活の宍戸錠主演作品は、結構な良作ぞろいで、裕次郎の次に作品に恵まれていたと思う。

晩年に出たラジオやインタビューなどでも、宍戸錠本人が一番好きな主演映画に本作を挙げていた。

自分もDVDソフトも所有している映画だが劇場での鑑賞は今回が初めて。上映フィルムの状態は傷の目立つところにも有るが悪くない。

初めて観たのは、日活の名場面を集めた映画「アゲイン」で、あの超絶的ラストアクションを見せられたので、のちにテレビ放送で本編を観た時は、小林千登勢のウェットなドラマに違和感だったが、改めて見ると同じ袋小路のはぐれ者達の共感場面として悪くない。

ジュリー藤尾が、銃を撃たずギターで一曲歌うなどの昔の映画であるサービス感も嬉しい。

防弾メルセデスのデモンストレーションをする場面での強敵を連想させる巧みさや時限爆弾を作る際の緊迫感などの新しい試みも良い。

嵐寛寿郎や冷静な敵役の宮部昭夫やお坊ちゃん感のある若い杉良太などの役者陣も豪華。

一番の見せ場は、ラストの埋立地での、日活撮影所にある移動レールを全て使ったと言われる高速横移動撮影のガン・アクションと宍戸錠の素晴らしい体技のアクション、そして防弾車メルセデスとの息詰まる対決の迫力と余計な余韻がないキレのある終わりで傑作。

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ミラーズ

5.0あぶない刑事より20年は古いのに本作の方がかっこいい!

2020年3月20日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

素晴しい日本のフィルムの傑作
銃器の扱い方の表現などハードボイルドでかつ無国籍な雰囲気は他の日本映画にない味わいがある
宍戸錠の抑制された演技、スタイルの良い体
現代の二枚目は足は長くてもひょろっとしている
いくらジムで筋肉をつけていても、宍戸錠のようなタフさがスーツを纏っているというような絵にはならない
脚本は色々荒いが映像の良さが全てをカバーしている
あぶない刑事より20年は古いのに本作の方がかっこいい!

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あき240

3.0スーツ姿の殺し屋ジョー

2020年2月15日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

67年モノクロ。日活無国籍アクション。

流れるジャズが実にクール。だが日本製ハードボイルドは所々が叙情的。ジェリー藤尾がギターで哀しげな曲を歌ったりする。脚本は雑で上手くないが、宍戸錠の存在感は一見の価値あり。

バトルの前の道具の念入りな描写とラストの乾いた空気が実にナイス。無国籍映画はこうでなくちゃ。

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散歩男
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