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劇場公開日:

解説

聖子・正輝の結婚式、山口組と一和会の抗争、金の信用販売など85年の事件を追うテレビの人気突撃レポーターの姿を描く。脚本は「十階のモスキート」の内田裕也と高木功の共同、監督はピンク映画界の若手ホープと期待を集め、この作品が初の一般映画となる滝田洋二郎、撮影は志賀葉一がそれぞれ担当。

1986年製作/124分/日本
配給:その他
劇場公開日:1986年2月1日

ストーリー

ワイドショウのレポーター、キナメリは突撃取材で人気がある。妻はコマーシャル・タレントだが、二人の時間帯はまったくかみ合わない。ハードなスケジュールで動くキナメリは、朝食ではパンにビタミン剤をはさんで食べている。その日も、成田から飛び立つ桃井かおりに、放送作家の高平哲郎氏との恋愛についてマイクを向けていたが、まるで相手にされなかった。しかし、ワイドショウの司会者はそのコケにされ方がいいと誉める。キナメリは、あるときは運送屋に変装して人気タレントを追い、バリ島から帰ってきた三浦和義を成田で待ちうけた。町を歩けば娘たちにサインを求められる。ある晩、キナメリは馴染みのバーに入ると、そこにはロックン・ローラーの桑名正博と安岡力也がおり、かつて大麻で捕ったときに、二人はキナメリに手痛い目に合わされたことがあった。二人はキナメリにからみ、店から追い出してしまう。キナメリの表情は思いを内に秘めたようにクールだ。松田聖子、神田正輝の結婚式が近づいており、キナメリは聖子の家に張り込み、彼女が喜びのあまり、風呂場で唄う「お嫁サンバ」を録音することに成功するが、電信柱に昇っているところを警官に捕ってしまう。警察ではこっぴどく叱られ、始末書を書かされるが、プロデューサーはどんどん過激にやれ、後の面倒は局が見るからとキナメリを煽る。キナメリは聖子・正輝の結娘式ではガードマンに殴られ、準備中と札の出ているフルハムロード・ヨシエに入って三浦和義にマイクを向けてコーラを浴びせかけられてしまう。彼は大阪に向かい、山口組、一和会の抗争の取材もする。その頃彼のマンションの隣りに住む老人が、セールス・ウーマンから金を買ったという話を聞く。疑問を抱いたキナメリは独自に、金の信用販売会社を捜索し始めた。その頃、キナメリの取材が行き過ぎということで、彼は夜の番組に移されることになり、風俗産業をレポートすることになる。その番組で、金の信用販売についてレポートしたいとプロデューサーに提案するが相手にされない。夜の新宿を歩くキナメリは、アルタの壁面のビデオで三浦が逮捕されたことを知った。ある日、ホストクラブを取材し、一日ホストを勤めた彼は、ある女に買われホテルに入る。女は激しく体を求め、終ると、金の替りに数百万円の金の証明書を彼に渡した。数日後、テレビのニュースで女がガス爆発で自殺したことを知り、彼はハッとして隣りの老人のドアを叩くが返事はなく、数日分の新聞がたまっていた。日航機の堕落を取材したキナメリは東京に戻り、金の信用販売会社、社長のマンションに向かうと、そこに二人組の男が現れ、取材陣の前で窓を破って中に入ると、アッという間に社長を刺殺してしまう。後を追って中に入ったキナメリも傷を負ってしまう。部屋から出て来たキナメリに、他の取材陣は室内の情況を訊くが、彼は口を開かない。取材陣がキナメリをののしると、彼はポツリと“アイ・カント・スピーク・ファッキン・ジャパニーズ”と呟いた。

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映画レビュー

2.5手ぬるいマスコミ批判

2023年6月14日
iPhoneアプリから投稿

内田裕也やビートたけしの演技は面白いものの脚本といい演出といい問題意識といい稚拙な部分が目立った作品だった。

とは言いつつも序盤のロス疑惑のインタビューあたりまでは本当に良かった。インタビュー対象に論理的にも倫理的にも完全敗北を喫しているにも関わらず「一言だけお願いします」と機械のように繰り返し続けるキナメリには当時のマスコミの狂いぶりが見事な形で刻印されていたと思う。「恐縮です」と口では言いつつも微塵も恐縮していない慇懃無礼ぶりも面白い。

しかしマスメディアの暴走を最前線で担っていたキナメリが最終的にマスメディアの標的にされるという展開はあまりにもありきたりだ。しかも唐突に「俺は報道倫理に目覚めたんだ!」と改心させるのではさすがに具合が悪いと思ったのか、日本航空123便墜落事故や豊田商事事件といった誰もが厳粛とならざるを得ない事件を通じて彼を少しずつ倫理の側にズラしていくというセコい戦法を取る。

「細部を誤魔化しながら大局でドラマチックな物語を提供する」みたいなやり方こそがマスコミの最も非難すべき側面であるはずなのに、それをマスコミ批判映画の本作が率先してやってしまっているという皮肉。ミイラ捕りがミイラになるとはまさにこのことだ。

ここは下手に冒険せず、キナメリを最後まで狂人として描き切ったほうがよかったんじゃないか。それこそ御巣鷹山山中に転がる焼け焦げた無数の死体に向かって「一言お願いします」とか、悪徳商社の会長を殺しに来たビートたけしから刃物を奪って「動機は何ですか?」とか。アパート前で待ち構えるマスコミの前に血塗れのキナメリが出てきて全員が押し黙る、みたいなオチのほうがよっぽど倫理的だと思う。

劇中で幾度か挿入される無人の球場でのやりとりにもいまいち視覚的インパクトがない。しつこいスローモーション演出も退屈だった。特にラストカットの緩慢ぶりには辟易した。等速で流して最後にマイクを投擲する瞬間だけスローにするのではダメだったんだろうか。

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因果

狂気さが物足りない

2021年7月20日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

抑えた内田裕也がウリなのかわからないのですが、もっと破天荒にはじけてほしかった気がする。一番感心したのは、若いころ、こんなカッコ良かったってところ。

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mojimizu

2.5滝田洋ニ郎

2021年7月6日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

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Y

3.5マスゴミとジャーナリズム

2020年6月30日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

怖い

興奮

内田裕也のキャラや存在感より、カメオ的に出演する豪華脇役陣が凄まじく、ラストはビートたけしの怪演で全てを掻っ攫う!!

芸能界を含めた日本の社会情勢に怒りと鬱憤が溜まったかの如く、それらを揶揄するかのようにブチかます内田裕也のマジメには描かないコミカルさに棘がある。

ロス疑惑の三浦和義に突撃したり、山口組と一和会にまで突入する根性?には唖然とさせられ、四代目になる竹中正久らしき人物も画面に映り??

ドキュメンタリーの皮を被ったモキュメンタリー的な姿からの、脱がせたら一種のパロディ映画かと思いきや、ノンフィクションな腹の中!??

公開当時は五〜六歳の自分、二十歳前半にTV局のカメアシ業務を、仙台の刑務所?拘置場?から出所した三浦和義を取材車で追ったことがある、ちょっとしたカーチェイス宛らの気分を味わった。

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万年 東一
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