「追悼:菅原文太」県警対組織暴力 みつまる。さんの映画レビュー(感想・評価)
追悼:菅原文太
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健さんに続いて文太兄ィまでが死去。
勝新太郎、松田優作、原田芳雄と昭和を代表する愛すべきアウトロー男優がまた1人、この世から去った。
文太兄ィと言えば、重低音が響き渡るドスの利いた声が特徴的であり、『仁義なき戦い』で喋る広島弁にはゾクゾクきたもんだ。本人は宮城県出身だったけど。
この作品は、次々に量産されていた東映の実録路線のヤクザ映画とは一線を画す異質のもの。
文太兄ィが演じるのはヤクザでなく、ヤクザと癒着し、暴力捜査も辞さない泥にまみれた悪徳警官と言うのが目新しく、タイトルがもう『ゴジラ対メカゴジラ』に匹敵するぐらいインパクトがありましたね。
暴力団同士の血で血を洗う抗争と警察署内の軋轢を描いた本作には3つの名場面があります。
1つ目は取調室での暴行シーン。虫ケラのようにフルボッコにされる川谷拓三の熱演がきらりと光ります。
2つ目は密告者をチンピラが刺殺するシーン。凄惨な場面とテレビから流れて来る「こんにちは赤ちゃん」の明るい歌声とのギャップが、とても印象的でした。
そして3つ目は、文太兄ィが狂犬と化した盟友・松方弘樹を射殺した後に見せる哀しげな目をした表情。『ダーティハリー』でのハリー・キャラハン刑事が、犯人を射殺した後の苦々しい表情が脳裏をかすめてゆきます。
今頃、天国で文太兄ィは名コンビだった深作欣二監督と再会していることでしょうね。
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