劇場公開日 1986年10月10日

「愛を欲する男の虚しい姿」化身(1986) 近大さんの映画レビュー(感想・評価)

3.0愛を欲する男の虚しい姿

2013年2月16日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

萌える

文芸評論家の秋葉は若いホステス・霧子に夢中になり、彼女を自分好みの女に変えさせようとする…。
渡辺淳一の小説を映画化した1986年の作品。

何と言っても見所は、ヒロインの霧子を演じ、本作で映画デビューとなった当時26歳の黒木瞳。
初々しさが非常に可愛らしい。
大胆なヌードや濡れ場にも挑戦し、脱ぎっぷりに天晴れ。
白い肌も華奢な体も小さめの胸もエロスをそそる。
藤竜也も中年男の魅力をダンディに哀愁たっぷりに体現する。

若く魅力的な女を我が物にする。男の願望だろう。
言う事を何でも聞くのであれば、買い与えた服や帽子や靴や車やマンションも安いものだ。
手中に収まっている頃は可愛かった。
しかし、ウブだった若い娘はレディに美しく成長し、自立し始める。
それを知った男は彼女が自分から離れるのを許さない。
霧子は貢がせる為に秋葉の女になっていた訳ではない。霧子も霧子の前に関係を持っていた愛人も純粋に秋葉を愛していた。
だが、女はいつまでも男の物ではない。
彼女たちを愛した秋葉だったが、本当はただ女たちから愛されたいだけだったのかもしれない。
虚しく愛を欲する男の姿が身につまされる。

近大