黒い画集 あるサラリーマンの証言

劇場公開日:

解説

週刊朝日に連載中の松本清張『黒い画集』の中の一編『証言』の映画化。「空港の魔女」の橋本忍が脚色し、「裸の大将」の堀川弘通が監督した。撮影は「新・三等重役」の中井朝一。

1960年製作/95分/日本
原題:Knock Down
配給:東宝
劇場公開日:1960年3月13日

ストーリー

東和毛織の管財課長・石野は、妻と子供二人の家庭生活も円満でありながら、同じ課の事務員梅谷との情事を楽しんでいた。七月十六日の木曜日も、いつものように石野は、会社が終ると新大久保のアパートに梅谷を訪ねた。その帰途、駅の近くで近所に住む保険外交員の杉山とすれちがい挨拶をかわしてしまった。妻には、遅くなった理由を渋谷で映画を見て来たからだと言った。三日後、石野は刑事の訪問を受けた。十六日の午後九時三十分頃、新大久保で杉山に会ったかどうかと質問された。会ったと言えば、梅谷との関係を洗いざらいにしなければならない。破滅を意味した。石野は、会った覚えはないと答えた。その夜、杉山が向島の若妻殺しの容疑者として逮捕された。転ばぬ先の杖と、石野は梅谷を品川のアパートへ移転させた。彼は杉山が犯人でないことを知った。犯行は、杉山と会った時間に、向島で起っていたのだ。が、石野は証言台でも「会った事実はない」と証言した。杉山の「どうして嘘を言うのですか」という絶叫を聞き流しながら。--部長の甥の小松が、梅谷と結婚したいと言い出した。梅谷もすべてを清算する機会だという。石野も、波風の立たぬ生活に戻ろうと決心した。アパートに行くと、梅谷が学生の松崎と只ならぬ関係を結んでいた。梅谷は、松崎が石野と彼女の間柄をタネに脅迫したのだという。松崎は社に現われ、石野に五万円を要求した。松崎は与太者の早川に借りた麻雀の金に苦しんでいたのだ。石野は三万円で手をうつことにした。約束の日、約束の時間には間があるので、映画を見、アパートへ行った。が、石野を待っていたのは松崎の死体だった。暗がりのため、石野の上着、指の先まで被害者の血が附いた。石野は逮捕された。弁解は信用されなかった。刑事は前も映画、今度も映画と言って笑った。七月十六日の夜、杉山に会ったことを石野は語った。--石野は釈放された。しかし、これから一体彼は何をしたらいいというのだろう。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0お手本のようだ

2023年7月29日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知的

ケーブルで鑑賞。
清張の小説を読んでないけど
そのまま読んだ気になるような映画だった。

起承転結がしっかりとしてて
伏線が効いており、
話の進行にはうなってしまう。
脚本というより基本的な、ストーリー作りのお手本をみるようだった。

手堅い画面で安定して見れるつくり。
面白かった。

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こまめぞう

3.5松本清張の短編を見事に映像化した傑作

2022年9月1日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

WOWOWの放送を録画にて。

終業後、ビアホールでジョッキを2杯、パチンコを楽しんでから部下である女性社員の住まいで情事に耽り、帰宅すると子供らはまだテレビを見ていて、妻子とそれなりの会話を交わす。
なんと充実した時間の過ごし方だろうか。

主演の小林圭樹はサラリーマン喜劇でキャリアを積んでいて、とぼけたキャラクターが得意の俳優だ。
自分の社内不倫を隠すために、殺人の濡れ衣を着せられた男を見放し、結局は自分が別の殺人事件で濡れ衣を着させられることになる。運命の皮肉に翻弄される中年男をシリアスに演じて、いくつかの主演男優賞を得ている。

主人公の供述の矛盾を突く刑事役の西村晃が、また良い。「また映画ですか。あなたの話にはよく映画が出てきますなぁ〜」

松本清張の小説は短編が映画や単発テレビドラマに向いている。シチュエーションと人間心理の組み合わせでハプニングを起こし、結局主人公は自滅するのだが、松本清張のウィットに富んだアイデアによって展開は先が読めない。
橋本忍が脚色した本作の主人公は、若い女を囲っているアパートの近くで偶然すれ違った顔見知りに挨拶をしてしまい、不倫が明るみに出るのではないかと疑心暗鬼に駆られる気の小さい男だ。この性格設定が明確なので、追い詰められる主人公の心理が分かりやすい。
また、高度成長期真っ只中の大手企業サラリーマンの生活と、対比的にノルマに追われて追い詰められた外交員の姿を見せて、当時の社会的明暗が逆転する皮肉にもなっている。

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kazz

3.5知人が強盗殺人で起訴されている。 自分はアリバイを立証できるが、そ...

2022年8月10日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

知人が強盗殺人で起訴されている。
自分はアリバイを立証できるが、それでは社内の若い女性との不倫がばれてしまう。
保身のためにウソをついてしまうという展開。
しかし、思わぬところから不倫がばれてしまうという流れはおもしろかった。
悪いことはできないものだ。

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省二

3.5悲しい。

2020年6月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

泣ける

悲しい

わかるわかる。
ドキドキしながら見た。

だんだん、顔つきも悪くなる。

部下の女性のホットパンツ、印象的。

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