劇場公開日 1984年9月1日

「開拓の厳しさが伝わってこない」北の螢 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0開拓の厳しさが伝わってこない

2013年8月15日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

難しい

総合60点 ( ストーリー:55点|キャスト:65点|演出:60点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )

 開拓時代における北海道の、人の命を命とも思わないような無法で無茶苦茶な強制労働の悲劇や、そこから生まれる人間劇が出てくるのかと思っていた。だがそのような労働者というか囚人たちのことはあまりにあっさりと描かれて、彼らの辛酸や怒りが殆ど伝わってこない。劇中の暖かい部屋の中で「数百人が道路建設で死んだ」とか言ったところで、数字が一人歩きしているにすぎない。まるで報告書でも聞いているだけのようだ。その状態で一部の登場人物の行動を追っていっても重みが感じられない。
 美術は最初はいいと思ったが、後半になるとだんだんと偽物ぽくなる。偽物の雪の中で吐く息も白くなくつやつやの肌のままの雪中の逃避行で寒さが伝わってこないし熊の場面はかなり安っぽい。五社監督らしい大袈裟な演技の演出も目に付く。やたらときばった科白とその言い方で物事をすべて表現しようとしすぎている。

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Cape God