劇場公開日 1970年10月24日

「家族とは。」家族 みつまる。さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5家族とは。

2016年2月6日
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鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

今年の春、久々に本格的な喜劇映画『家族はつらいよ』が公開される名匠・山田洋次監督作品。
本作は新たな暮らしの糧を求めて、長崎の小島から北海道まで日本縦断の旅を続ける一組の家族の姿を、ドライに描いたロードムービーです。
渥美清をはじめ、倍賞千恵子や前田吟や笠智衆や太宰久雄と言った寅さんファミリーが集結してドラマを一層盛り上げ、大阪万国博覧会や広島県福山市の工業地帯の様子を捉えた当時の貴重な映像が、まるで記録映画を見ているようで大変興味深かった。
その反面、家族がとる軽率な行動に、とてもじゃないが安穏な気持ちで見ていられやしない。もう危なっかしくてハラハラされっ放しです。
時代が大きな社会変動を起こす時、人間もそれに順応できるように大きく変わらなければ生き残れないと言うことが、全編を通じて切実に伝わって来ます。
しかも、この一家はその急激な変化に多大な犠牲を支払ってしまうことに。
青函連絡船での長男、精一(井川比佐志)が夜の暗い海に向かって人知れず泣くシーンがいつまでも忘れられません。
決して年老いた父親(笠智衆)や夫のことを信じてここまで付いてきた妻、民子(倍賞千恵子)の前で涙なんか見せられやしない。
精一は自分の独断で北海道への移住を決めたことをずっと悔やんでいたと思います。
民子がそんな精一の体に寄り添い、笑みを浮かべながら語りかける姿にじ~んと来ました。その一言がなかったら、彼は一生後悔しながら生きて行かなければいけなかったのかもしれません。
そして北の大地の雄大な大自然と道民たちとの温かいふれあいが、民子に前向きに生きて行くことの大切さを学ばせたのかも。
人間って決して精神的に強い生き物ではないけど、希望を持つことでその弱さを克服出来るんだと思いました。
またいつの時代も家族とのつながりを大切にしたいものですね。

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みつまる。