劇場公開日 1964年2月1日

男嫌い(1964)のレビュー・感想・評価

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5.0シュールでダサモダンなセットとヘンテコな画面構成で楽しめるが、元はテレビドラマなのかな?

2021年12月2日
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鑑賞方法:映画館

冒頭から割と豪華だが舞台味のある屋敷のスタジオセットとほとんど全編スタジオでの撮影が多くて、当時のモダン建築のダサ部分を強調したように見えるセットと市川崑のカットバックを模倣した構図の絵作りや縦位置アンクルなど面白い。

女性陣も岸田今日子、越路吹雪、淡路恵子、横山道代や中尾ミエなどの華やかメンバーが揃っており、相手役も森雅之や青島幸男や神山卓三や弟役で坂本九などとチョイ役ですが峰岸徹(赤木圭一郎に割と似てる)や内田裕也などの若き日の姿が楽しい。
個人的には日系二世役の若い神山卓三のスマートな英語の発音や名優森雅之のちょっとした折り目正しい仕草が流石と思う。
あと、せっかく中尾ミエと坂本九の絡みがあるのに、歌や踊りが無いのは少し残念。

八丈島がハワイ的な観光地として扱われており、調べてみると当時は日本のハワイとして人気の観光地だったことがわかる。ただしロケ撮影していないので全て若干抽象的なスタジオセットですが。

シュールでダサモダンなセットとヘンテコな画面構成と人を食ったドタバタなギャグなどで全体的に楽しめるが、元はテレビドラマなのか?軽く安い感じがあり、古典になるほど追い込んだ作りにはなっていない。

監督の木下亮が本作の翌年に監督した肉体の学校を見てないので断言出来ないが、フイルムグラフィティーを見る限り失礼ながらあまり目立った作品は残しておらず、もし監督が市川崑や岡本喜八や川島雄三(1963年に亡くなったから無理か)辺りが撮っていたらもう少し違うクオリティになったのでは?も感じるところ。

もちろん映画監督として現場をまとめて標準的な作品を作り納品するのも能力の一つですが。

脚本は名手だと思う井手俊朗なのでイキのイイところもあるが、共同脚本となっていてどこまで関わっているのかは不明

ただ、今回見て爆笑したところもあり、斜陽とはいえ当時なら日本映画の勢いや成熟もあり普通に楽しめる作品だと思う

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