駅前旅館

劇場公開日:

解説

雑誌『新潮』に連載されて好評を博した井伏鱒二の原作を、「季節風の彼方に」の八住利雄が脚色したもので、駅前旅館のあけくれと、番頭稼業を描いた喜劇。「負ケラレマセン勝ツマデハ」の豊田四郎が監督、「家内安全」の安本淳が撮影した。出演は「欲」の森繁久彌・伴淳三郎、「ぶっつけ本番」のフランキー堺・淡路恵子「大番 (完結篇)」の淡島千景、そのほか草笛光子・三井美奈・浪花千栄子など。色彩はイーストマンカラー。パースペクタ立体音響。

1958年製作/109分/日本
原題:Hotelman's Holiday
配給:東宝
劇場公開日:1958年7月12日

ストーリー

“私、駅前の柊元(くきもと)旅館の番頭でございます”生野次平は三十年の経験をもつ「お帳場様」である。上野界隈も昔とはずい分変ったものだ。柊元旅館は今日も修学旅行の団体客でごったがえしている。馴染みの旅行社の添乗員・小山が忙しく中学生をさばく。次平は山田紡績の社長一行のなかの女客に二の腕をつねられた。その女客は女中のお京に伝言を残すと発っていった。次平には気の合った番頭仲間が四人いた。そのうちの高沢に尻尾をつかまれ、今度の慰安旅行の幹事にされた。その役は艶聞を立てた者に振りあてられることになっていたのだ。馴染みの飲み屋・辰巳屋のお辰のところで行先を江の島と決めた。夏の江の島には全国から番頭たちが客引の腕をみがきにくる。昔、ここで次平や高沢は芸を張り合ったものだ。次平は彼をつねった女のことをやっと思い出した。於菊--江の島時代の旅館の豆女中だった。間もなく、例の山田紡績の女工たちの団体がやってきた。於菊が保健係の先生と共に引卒していた。次平は席を設けて於菊と会ったが、“旅の恥はかきすてというような気持……”といった於菊の言葉が彼のカンにさわった。社長の妾で工場の寮長に納って満足気な女の手前勝手だ。“お前、宿へ帰んなよ”彼には昔流の意地があった。--下級旅館の強引な客引・カッパの連中が格元に泊った女学生三人を怪我させた。次平は主人から怒鳴られ、小山は自分の客から怪我人が出てクサった。次平は一計を案じ、上野駅前浄化運動を始め、カッパ連中を締め出す看板を一帯にめぐらした。本部は辰巳屋に置いた。カッパ連は次平を出せと柊元に押しかけた。因っているお内儀を助けようと、次平は暇乞いの口上を述べたが、主人がそれを利用し、本当に彼をクビにした。彼はさっと最後の客引きの手際を見せるとそのままを消した。その夜、小山もお京を連れて柊元を出、大阪を目指した。次平は追ってきたお辰と一緒に日光行の二等車に収っていた。住み慣れた上野の火がのろのろと二人の目前を動いていった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0隔世の感あり

2022年12月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

私が生まれた年に公開された映画。とにかくセリフが多い。そして速い。芸達者な俳優がそろっているからできる。当時の世相が見て取れるが、高度成長期の大衆のエネルギーのすごさを感じさせてくれた。古いフィルムのせいか少し台詞が聞きづらく、セルフの早さもあってあまり笑えなかったのだが、当時は大受けしたのでしょう。淡島千景が色っぽくていいなあ。草笛光子は淡島よりずっと若いのに貫禄を出していますね。

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ハルヒマン

4.0市原悦子が!?

2014年6月22日
Androidアプリから投稿

笑える

楽しい

幸せ

森繁久彌、伴淳三郎、フランキー堺だけでも満腹なのに、淡路恵子、淡島千景、草笛光子、森川信、左卜全と、キャストも超豪華。修学旅行生がお米を持参していた時代の映画。あの、市原悦子さんが、なんと女子高生役で出ています。フランキー堺さんのロカビリーのシーンは爆笑ものです。人情もあって、こういう喜劇は良いですね♪

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ぶたまん
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