噂の女(1954)

劇場公開日:

解説

「山椒大夫」の依田義賢と「花のいのちを」の成澤昌茂が脚本を書き、「山椒大夫」に次ぎ溝口健二が監督、同じく宮川一夫が撮影を担当、音楽は「昨日と明日の間」の黛敏郎が当っている。主演は「女の園」の久我美子、「股旅わらじ 恋慕笠」の大谷友右衛門、「女の暦」の田中絹代、「昨日と明日の間」の進藤英太郎、「殴り込み孫悟空」の峰幸子、阿井三千子等である。

1954年製作/83分/日本
劇場公開日:1954年6月20日

ストーリー

京都島原の廓でただ一軒太夫の置屋とお茶屋を兼ねた、井筒屋の女将初子は、夫亡き後女手一つで太夫、仲居、女中達を切廻して商売しているが、東京の音楽学校でピアノの勉強をしていた一人娘雪子が、愛人と婚約するばかりになっていたのに突然自殺を計ったので、東京へかけつけて彼女を家へ連れ戻した。帰宅した初子は廊の若い医師的場に雪子の診察を頼んだが、彼女は頑なにそれを拒むのだった。しかし物分りのよい的場と雪子は親しく語り合った。その夜遅く太夫の一人薄雲が胃ケイレンをおこし、的場が手当てをしたが、その後で彼と二人切りになった雪子は、母の商売に疑問を持って居り、それは自分の恋の破れたのも相手が家の職業を知って破談にしたためだからだと打明けた。的場からこのことを伝えきいた初子は先祖代々の職業が娘の幸福の妨げになったという事実に大きな衝撃をうけた。初子は的場に対して恋を覚え、彼のための病院を買ってやり、彼と結婚しようとする希望であった。一方組合役員の原田は、初子との結婚を迫っていたが、彼女は勿論断っていた。ところが的場と雪子との心はその間相寄って、ある日能の見物に行った二人は接吻した。これを知った初子の心は嫉妬に燃え、逆上して雪子に辛く当るが、やがて的場に病院設立の費用を与えて身を引こうとした。だがアプレの的場の正体を知った雪子は、汚らわしいこの家の商売から離れることを諦め、的場に捨てられた衝撃から病床に着いた母に代って女将となり井筒屋の切廻しに乗り出した。

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映画レビュー

4.0小品なれど無駄なく母娘の感情の交錯を描き出した秀作

2020年8月27日
PCから投稿

ここは京都の花街。田中絹代が切り盛りする店には身を売った多くの女性たちが住み込みで暮し、日々多くの客たちが出入りする。そんな稼ぎで東京にまで出してもらった娘は今、家業が原因で交際が破談になり、自殺未遂を起こして実家へ帰ってきた。そんな彼女へ向けられる周囲の目。やがて娘の恨みつらみは母へと向けられ・・・。小さな作品ながら、立体的な感情と視線が交錯して高密度のドラマを織り成していく様にじわじわと圧倒される。真っ向から対立する田中絹代と久我美子だが、しかし彼女たちもまた芯の部分で繋がっていて、二人がいかに心を重ねていくのかが一つのポイントになる。その一方で、忘れがたい印象を残すのは、身を売って働く花魁たちの姿だ。感動の母娘ドラマに終始せず、二人を見つめる女性たちの視点をそっと添えるこのバランス感覚。人間関係がまるで建築物のように組み上げられ、一切の無駄がない。巨匠の技を突きつけられる一作である。

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牛津厚信

4.0溝口映画最後の出演で魅せる、田中絹代の滋味豊かな名演技

2021年10月16日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、映画館
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Gustav

3.0田中絹代は素晴らしい 廓の中も素適。 親娘にもてる男が魅力なさすぎ

2017年1月11日
iPhoneアプリから投稿

田中絹代は素晴らしい
廓の中も素適。
親娘にもてる男が魅力なさすぎ

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とらこ
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