燈台

劇場公開日:

解説

三島由紀夫の同名戯曲の映画化で、「若い娘たち(1951)」の井手俊郎が脚色、「花の慕情」の鈴木英夫が監督した、若き継母を慕う青年の心理を描く文芸篇。撮影は「女探偵物語 女性SOS」の山田一夫。「大学の人気者」の久保明、「つづり方兄妹」の津島恵子、新人の柳川慶子、それに河津清三郎が主演している。

1959年製作/64分/日本
配給:東宝
劇場公開日:1959年2月24日

ストーリー

昇が初めていさ子に会ったのは復員して我が家の玄関先に立った時だった。出迎えた彼女を見て昇は息を呑んだ。戦地帰りの彼に若い美しい日本の女は、余りにも印象が深かった。以来、彼は恋の虜となった。が、いさ子は父祐吉の後妻、昇は母の死後、父が再婚したのを知らなかった。昇は愛する人を母と呼ばねばならぬ運命の皮肉を憎んだ。それから二年目の春、昇は父と、妹の正子、それにいさ子と四人、大島に遊んだ。いさ子が夜、兄妹の部屋に遊びにきた。「眠れないから本を貸してほしい」といういさ子に、正子は昇の本を差出した。その本には、いさ子の名を連ねた落書が書きこまれてあった。昇の二年間の秘密は明るみに出た。重苦しい部屋の空気から逃れるように正子は表へ出た。残された二人は長い間だまっていた。しかし昇の方は、かえって落着いた。彼はいさ子にすべてを告白した。いさ子の動揺は激しかった。彼女も、五つしか違わぬ昇の母親になり切ろうとして、なり切れなかった女としての自分を感じていたからだ。そしてそれを昇の前に告白した。昇の顔は歓びに輝いた。父に打明けて解決しようと、いさ子に迫った。が、いさ子は、やはり現状維持の静かな生活を希った。そこへ祐吉と正子が入ってきた。昇は何も知らぬ父に、秘密をひめた本を差出した。息づまるような一瞬。正子は素早く本を奪い取った。何気なく本をかくす正子。その眼に昇は涙を見た。彼は急に正子がいじらしくなった。何事も起らず、何事も知らずに祐吉はいさ子とともに部屋を出た。それから七年、結婚した正子は夫と再び大島を訪れた。彼女の胸に、今は二児の父としてアメリカにある昇の姿が浮んだ。時の流れは人の総てを変えてしまう--だが自然は……正子の眼にうつる青い海の灯台は、あのときのままであった。

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