見たい度推移(赤線は公開日)


深刻な老人問題を軽妙な視点から描き上げた、ベテラン新藤兼人らしい冴えが感じられる意欲作。ボケの進行する老父と、ソウウツ病を抱える独身の娘。二人暮らしを送る彼らの一種絶望的な状況に、姥捨て伝説の再現映像を重ね合わせながら、その行方を描破する。父娘のやりとりから滲み出るのは、ありきたりな悲哀よりも、どうにもならないからこそ生まれるユーモアの数々。苦渋に満ちていながら、それをあえてカラッと映し出す様に、人間観察の巧みさが息づいている。バーの非情なママに扮した大谷直子や、娘の親友を演じる宮崎淑子の好演も、閉塞感に終始しがちなこうした物語を風通しの良いものにしている。第21回モスクワ国際映画祭では、グランプリをはじめ、国際批評家連盟賞、ロシア映画批評家賞を受賞。




