朝の波紋

劇場公開日:

解説

スタジオ8プロ第二回作品で、第一回作品「わかれ雲」と同じく平尾郁次の製作、館岡謙之助の脚本、五所平之助の監督、三浦光雄の撮影というスタッフである。原作は高見順の朝刊『朝日新聞』連載の小説である。主演は「続佐々木小次郎(1951)」を最後にフランスへ行き、半ヶ年ぶりで帰って来た高峰秀子の最初の出演、他に「風ふたたび」の池部良、「山びこ学校」の岡田英次、「嵐の中の母」の香川京子、「大空の誓い」の上原謙、その他汐見洋、三宅邦子、沢村契恵子、外国人のアドリアン・アンベールなどである。

1952年製作/104分/日本
原題:A Ripple in a Morning
劇場公開日:1952年5月1日

ストーリー

瀧本篤子は、貿易会社三光商事の社長秘書として、巧みな英語と事務処理の腕前とをかわれていた。彼女の家には親類の健ちゃんという少年をあずかっていた。健ちゃんの父は戦死し、母は箱根でホテル勤めをしていた。健ちゃんの仲良しにイノさんこと伊能田二平太という青年がいる。彼も富士商事という大きな貿易会社に勤めているが、元々学究的で英会話の苦手な彼はたびたび会社でヘマをやる。社長の外遊中、篤子はバイヤーのブラットフォード氏から大きな仕事をもらう。営業部長の久富が渋るのを、梶五郎という青年社員は篤子を助けてこの仕事をやりとげようという。そのため篤子は間に合わない注文品の催促に梶と神戸まで出かけて行く。ブラッドフォード氏との契約は元は富士商事のものだったので篤子は、色々な障害はイノさんが故意にやっているものと誤解するが、実はかえって彼が篤子のため尽力していてくれた事実を知って感謝する。そのためか神戸で梶からの求婚も篤子には何となく素直に受取れないものがあった。イノさんは同僚が胸の病気で苦しんでいることから、新薬ストレプトマイシンの困難な輸入契約をなしとげて、初めて社長から大いに認められる。その成功のお礼に彼は健ちゃんの母、お加代さんを会社に雇ってもらうことにして箱根から呼び寄せるが、その頃健ちゃんは愛犬のペケを捨るようにといわれたことから家出してしまう。健ちゃんの行方を探すイノさんの真剣な態度を見て篤子は初めて自分の求めていた人が彼であったことに気がついたのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0小商社と大手商社:仕事と人生

2024年2月25日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

楽しい

知的

当時では稀有なバリバリキャリアウーマンが主人公(瀧本篤子)ながら、今も尚残る女性が活躍することで抱かれる男性社員からの嫉妬。
一方で篤子に対して好意を持つ、同僚賀川の一言一言がいちいち気に触る、彼にとっては自分自身のことを話してるだけかもしれないが、その言葉が篤子に対して人生への疑問を投げ掛けるひと押しとなっていることに気づいてない点が哀しい。
瀧本家では、戦争未亡人となったかよが出稼ぎの間、息子、通称“けんちゃん“を預かっている。彼が連れてきた野犬ぺぇは、いたずらばかりで、篤子の母は事ある事にぺぇを捨てるように促す。外から預けられているけんちゃんとぺぇの存在がその度に重なる。
ある時、篤子は風変わりな青年伊能田に出会うなかで、仕事ばかりの人生に疑問を持ち始める。
与えられ職務以上に仕事をこなす篤子がある日大口案件を取ってくるが、大手商社の横槍で事がうまく運ばない。
人は何か大きな疑問を持ち始めた時に何か失敗する傾向にあるのか?戦争が齎した負の遺産が登場人物の日常に影を落としながらも、それぞれが日常と対峙し、自らの幸せに向かって前を向く。また、篤子の英語は軽やかで美しく、伊能田のハンサムぶりがスクリーンを超えて訴えかけてくる。ロマンス要素がしっかりと反映されているが、登場人物の心理描写が台詞ではなく、多数の視線で繋がっているのがとても印象的だった。

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Marizza

5.0面白かった。前から見たかった作品だったので見られて良かった(*´∀`)

2016年8月21日
Androidアプリから投稿

面白かった。前から見たかった作品だったので見られて良かった(*´∀`)

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