ヴィーナス : 新作映画評論

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ヴィーナス

劇場公開日 2007年10月27日
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ヴィーナス 10月27日よりシャンテシネほかにてロードショー

年の差ロマンスであり、生き甲斐を問う青春ドラマでもある

画像1(C) 2006 Venus PicturesLtd/UK Film Council/
Channel 4 Television Corporation

どんなに老いても男は女の柔肌を追いかけるもの。でもそれは、壮年期までの性欲とは違うはず。機能するかどうか別として、とことん交わりメンタルにつながりたい。限りある生を実感するのに、これ以上の欲望はない。エロスを求め最期の炎を燃やしたい男と、若さをもてあまし虚ろな内面を抱えてさまよう女。対照的に思えるふたりが出会って次第に距離を縮め、やがてひとつに同化する。これは、とてつもない年の差ロマンスであり、生き甲斐とは何かを問う珠玉の青春ドラマでもある。

妻との別居も永くなり、めっきり仕事も減った往年の二枚目俳優が、決して綺麗とはいえない20代の女性を見初める。恋の場数を踏んできた老優はひと目で、反抗的に装う不機嫌な彼女の中の輝きを見抜くのだ。本当の愛を知らなかった女性は、最初はウザイと思った老人の透き通る瞳の奥にある、ロマンの灯に気づき始める。オスカー名誉賞の受賞時に、まだまだ現役を宣言した名優ピーター・オトゥールへのリスペクトに満ちた演出が心地よい。そして、これが映画デビューとなる無名のヒロインの、醜から美へと転じるメタモルフォーゼが素晴らしい。

ここには“高齢化×下流”という、この国にも通底する今どきの縮図も見て取れる。けれど、いつの時代も人生を終えようとする者と、これから人生を始めようとする者は、似た者同士。いずれも孤独で、生の意味を真剣に自問自答する存在だから。

清水節

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ABOUT THE MOVIE

  • ヴィーナス 画像2
  • ヴィーナス
  • 名優ピーター・オトゥールが8度目となるアカデミー主演男優賞ノミネートを受けた人間ドラマ。70歳を越え人気も衰えた俳優モーリスは、今では俳優仲間のイアンと無駄に毎日を過ごしていた。ある日イアンのアパートを訪れた彼は、そこに滞在しているイアンの姪の娘ジェシーに出会う。無愛想だが若く奔放なジェシーに、いつしかモーリスは惹かれていき……。監督は「ノッティングヒルの恋人」のロジャー・ミッシェル。
  • 原題:
    Venus
    監督:
    ロジャー・ミッシェル
    脚本:
    ハニフ・クレイシ
    製作:
    ケビン・ローダー
    撮影:
    ハリス・ザンバーラウコス
    音楽:
    デビッド・アーノルド、コリーヌ・ベイリー・レイ
    出演:
    ピーター・オトゥール、レスリー・フィリップス、ジョディ・ウィッテカー、リチャード・グリフィス、バネッサ・レッドグレーブ
    2006年イギリス映画/1時間35分
    配給:
    ヘキサゴンピクチャーズ、シナジー
  • 10月27日よりシャンテシネほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C) 2006 Venus PicturesLtd/UK Film Council/Channel 4 Television Corporation

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