サウスバウンド : 新作映画評論

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新作映画評論

サウスバウンド サウスバウンド 10月6日よりアミューズCQN、新宿ガーデンシネマほかにてロードショー

いまや珍獣ともいえる左翼親父にスカッとさせられる

画像1(C) 2007「サウスバウンド」製作委員会

アクション映画じゃないのに、ハラハラドキドキさせられるとは思わなかった。まずは原作の力だ。奥田英朗の同名小説を映画化した本作は、元過激派親父・一郎(豊川悦司)が、「税金を納めろ」と督促に来る役人や、高額な修学旅行費を請求してきた子供たちの学校、果ては移住先の沖縄・西表島の開発に躍起になっている業者にまで、いちいち楯突く社会派コメディ。家族にとっては問題を引き起こす迷惑この上ない親父だが、右翼化傾向が強まる今の日本において、左翼親父はいまや珍獣であり理想。たった一人で権力者を倒していく暴れっぷりに、スカッとさせられる。

そんな原作の面白さをギュッとまとめたストーリーはもちろん、手に汗握ったのは他でもない、大人びたセリフに悪戦苦闘している子役や、気合いの入りまくった島民たちの芝居。豊川や天海祐希らプロの役者たちとのリズムの違いに戸惑うが、次第にこれがクセになる。無垢な彼らの存在が、監督歴29年の森田芳光監督の調子をも狂わせたようで、森田作品の特徴とも言える大仰な演出は、今回、一郎が異議を唱える時に言う決め台詞「ナンセンス!」という、その台詞こそナンセンスなシーンぐらい。逆に言えば、森田作品らしさはあまり感じないが、それもまた新鮮。娯楽作として誰もが楽しめる作品に仕上がった。

中山治美

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  • サウスバウンド
  • 直木賞作家・奥田英朗のベストセラー小説を、「間宮兄弟」の森田芳光監督が映画化。小学6年生の上原二郎は、仕事もせずに騒動ばかり起こしている元過激派の父・一郎の存在を恥ずかしく思っていた。ある日、上原家は母・さくらの提案で、一郎の故郷である西表島へ引っ越すことになる。地元の人々に歓迎される上原家だったが、やがて一郎は開発業者との戦いを開始し……。破天荒な父・一郎を豊川悦司が演じる。
  • 監督・脚本:
    森田芳光
    原作:
    奥田英朗
    撮影:
    沖村志宏
    音楽:
    大島ミチル
    出演:
    豊川悦司、天海祐希、田辺修斗、松本梨菜、北川景子、松山ケンイチ、平田満、吉田日出子、加藤治子
    2007年日本映画/1時間54分
    配給:
    角川映画
  • 10月6日よりアミューズCQN、新宿ガーデンシネマほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C) 2007「サウスバウンド」製作委員会

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