自虐の詩 : 堤幸彦監督インタビュー(2)

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堤幸彦監督インタビュー

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――今回の映画は、監督自身が最も満足度が高い作品と話していますが、監督の中でひと区切りといった気持ちもあるのでしょうか?

監督は元来、貧乏コントが大好き監督は元来、貧乏コントが大好き

「元々コントをやっていたし、ミュージックビデオのディレクターをやっていて、今でもそれが本業だと思っていて、TVドラマや映画を撮れるだけでも幸せなんですが、ずーっと、ドリフとかとんねるずがやってた貧乏コントが本当に大好きなんです。短編の『Jam Films』をやったときも、岩井俊二さんとか行定君とかはおしゃれなカッコいいのを作るんだろうなと思いつつも、僕が作るんだったら、やっぱり貧乏コントしかないなあと思ったりしていたので、今回の映画は自分でも得意な世界観だったんです。こんなことは製作委員会を前に言えませんが、おクラ入りになってもいいやって思うほどに好きなことをやらせていただきました。特に劇中に出てくる大阪の警察署の張り紙なんかは相当遊んで書いていますね。フリーズして見ると楽しいですよ。“あきらめんな大阪”とか書いてあります(笑)」

――本作以外でも、今年は「大帝の剣」「包帯クラブ」「まぼろしの邪馬台国」「20世紀少年」「スシ王子! 銀幕版」など併行して映画に携わっていて、まさに多忙を極めている状態ですが、頭が混乱しませんか?

撮影中の堤監督(右)本作以外にも多数の企画を抱えて大忙し撮影中の堤監督(右)
本作以外にも多数の企画を抱えて大忙し

「元々バラエティ出身なんで、バラエティをやっているときは演歌も占いもかっこいいポップスもなんでもしました。だから、“僕はコレしか出来ません”なんて口が裂けても言えませんし、言ったとたんに食えなくなってしまうんで、忙しさは気にならないですよ。それよりは与えられた課題にどう誠実に応えていくかが重要で、量の多さは問題ではありません。忙しさでいったら、80年代の方が忙しかったですからね。TVのレギュラー番組をしながら、毎週海外に行ってビデオを撮ったりとかしてましたから。今の方が寝られるだけマシですよ。たしかにそれぞれの映画やドラマの仕事が重なるんですけれども、それを乗り切る分業システムを作ったので、なんとかなっています。まあ、この10年間はそのシステムを確立するための期間だったといっても過言ではないですね」

――それぞれのプロジェクトに取りかかる際に「これだったら面白くなる、イケる」というある程度の基準があると思うのですが、それは何でしょうか?

「最近だと、場所的なことだったりするんですが、これは『池袋ウエストゲートパーク』を作ったあたりからなんです。昔のTVドラマ『寺内貫太郎一家』で、樹木希林が“ジュリー!”って叫びますよね。あの虚構の中にジュリー(沢田研二)という本物がいるっていうのが凄い好きでね。“ああ、本物があってもいいんだ!”って気づいたんです。それから『ケイゾク』なんかでもそうなんですが、場所は本物で中身は嘘っていうのをやってますよね。例えば、今回も崇高なテーマの原作を頂いて、主演は中谷美紀と決まった段階で“ああ、オレは『嫌われ松子』は超えられない”って半ば諦めかけましたけど、そのときに舞台を大阪・新世界にしたらイケるかもって思ったんです。実は『包帯クラブ』も高崎っていう街がなければ出来ていなかったかも知れないんです。とっかかりがあれば、割と作れてしまうのかも知れませんね」

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  • 無職で大酒飲みで乱暴者の夫イサオと、大阪の下町で貧乏生活を送る幸恵。気に入らないことがあれば、すぐにちゃぶ台をひっくり返し、肝心なことは何も話さず、いつもだんまりなイサオだが、それでも彼と一緒なら幸恵は幸せだったが……。業田良家の人気4コマ漫画「自虐の詩」を、「トリック」の堤幸彦が映画化。「嫌われ松子の一生」の中谷美紀が再び薄幸のヒロインを演じ、パンチパーマの乱暴夫イサオを阿部寛が演じる。
  • 監督:
    堤幸彦
    脚本:
    関えり香、里中静流
    原作:
    業田良家
    撮影:
    唐沢悟
    音楽:
    澤野弘之
    美術:
    相馬直樹
    出演:
    中谷美紀、阿部寛、遠藤憲一、カルーセル麻紀、竜雷太、名取裕子、西田敏行
    製作国:
    2007年日本映画
    上映時間:
    1時間55分
    配給:
    松竹
  • 10月27日よりシネクイント、シネ・リーブル池袋ほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)2007「自虐の詩」フィルムパートナーズ

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