長江哀歌 : 新作映画評論

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長江哀歌

劇場公開日 2007年8月18日
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長江哀歌 8月18日よりシャンテシネにてロードショー

現代中国における国家と個人の関係を掘り下げた作品

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中国社会の変化を日常的な視点から描き出してきたジャ・ジャンクー。彼が新作の題材に選んだのは、三峡ダム建設という国家的な大事業だ。映画の舞台は、やがて水没する運命にある古都・奉節(フォンジェ)。妻子や夫を探すために奉節にやって来た主人公たちは、急激な変貌を遂げる土地の目撃者となる。

だが、この映画から見えてくるのは、ドキュメンタリー的な現実だけではない。自由経済へと移行する中国には、個人主義や格差が広がっていく。そうなると、国民をひとつにしていくために、政治的なイデオロギーに代わる新たな求心力が必要になる。それが、北京五輪であり、“世界一のダム”なのだ。

ジャ・ジャンクーは、そんな見えない力もとらえようとする。注目しなければならないのは、ドラマが「烟(タバコ)」「酒」「茶」「糖(アメ)」というタイトルで分割されていることと、「札」のイメージが随所で巧みに強調されていることだ。4つの嗜好品は、日常的な次元で人と人を繋いできた。しかし、上から国民をひとつにしようとする力が、そうした繋がりを崩壊させ、経済的な繋がりをさらに強化していく。この映画は、現代中国における国家と個人の関係を掘り下げてもいるのだ。

大場正明

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ABOUT THE MOVIE

  • 長江哀歌 画像2
  • 長江哀歌
  • 06年のベネチア国際映画祭で金獅子賞に輝いた、中国の若き名匠ジャ・ジャンクー監督による人間ドラマ。ダム建設によって水没することが決まっている三峡の街。16年前に別れた妻子を探しにこの街を訪れた炭鉱夫サンミンは、かつて妻が住んでいた場所がすでに水没してしまったことを知る。一方、音信不通の夫を探しにやって来たシェン・ホンは、夫が働いていた工場を訪れるが、そこに彼の姿はなく……。
  • 原題:
    Still Life
    監督・脚本:
    ジャ・ジャンクー
    製作総指揮:
    チョウ・キョン、タン・ボー、レン・チョンルン
    製作:
    シュウ・ポンルー、ワン・ティエンユン、チュウ・ジョン
    撮影:
    ユー・リクウァイ
    音楽:
    リン・チャン
    出演:
    チャオ・タオ、ハン・サンミン、ワン・ホンウェイ、リー・チュウビン、マー・リーチェン、チョウ・リン、ホァン・ヨン
    2006年中国映画/1時間53分
    配給:
    ビターズ・エンド、オフィス北野
  • 8月18日よりシャンテシネにてロードショー
  • オフィシャルサイト

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