街のあかり : 新作映画評論

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新作映画評論

街のあかり 街のあかり 7月7日よりユーロスペースほかにてロードショー

澄み切った境地を感じるカウリスマキの新作

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アキ・カウリスマキの初期に「マッチ工場の少女」という作品があった。貧しい娘が、不条理な不幸な連鎖に陥る話で、新作「街のあかり」は、ある意味、その男性版といえる。ただあれから長い歳月を経て、監督の心はかつてより澄み切った境地を感じる。

主人公はヘルシンキに住む孤独な夜警。同僚にも相手にされず一人ソーセージ屋台で食事する姿に詫びしさが募る。そんな彼に「ロマンチックなバカ」と見抜いた狡猾なマフィアのボスは絶世の美女を差し向けて誘惑し、宝石店襲撃の罪を夜警一人になすりつける。

古典的なフィルムノワール、終盤にはサイレント映画のような凄みさえ漂う。聞けばこの映画の前に体調を崩したという監督。いまはキートンのドライさよりチャップリンのヒューマニティーに惹かれているようだ。ただそれらは監督の好みではあっても主題ではない。監督にとって大切なのは、主人公にわずかな「あかり=希望」を投げかけることだったのだろう。

田畑裕美

※筆者の田畑裕美さんは、6月21日に逝去されました。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。編集部

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  • 街のあかり
  • フィンランドの名匠アキ・カウリスマキによる“敗者3部作”の最終章となる人間ドラマ。ヘルシンキの街の片隅で生きる孤独な男が、人を愛することによって人間性を回復していくさまを描き出す。恋人も友人もいない夜警員コイスティネンは、カフェで声を掛けてきた美しい女ミルヤに恋をする。しかし彼女はマフィアが送り込んだ情婦だった。強盗の罪を擦りつけられたコイスティネンは逮捕され、1年間の服役を言い渡されてしまう。
  • 原題:
    Laitakaupungin valot
    監督・脚本・製作:
    アキ・カウリスマキ
    撮影:
    ティモ・サルミネン
    音楽:
    メルローズ
    出演:
    ヤンネ・フーティアイネン、マリア・ヤルベンヘルミ、イルッカ・コイブラ、マリア・ヘイスカネン、カティ・オウティネン
    2006年フィンランド映画/1時間18分
    配給:
    ユーロスペース
  • 7月7日よりユーロスペースほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

街のあかり

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