サイドカーに犬

劇場公開日:

解説

「雪に願うこと」で国内の映画賞を総なめした根岸吉太郎監督が、芥川賞作家・長嶋有のデビュー作を映画化。80年代初頭のある夏の日、10歳の薫の母が家を出た。数日後、薫の家に突然“ヨーコさん”という若い女性が現われる。男勝りで天真爛漫なヨーコは、神経質な母とは正反対の性格。そんな彼女に始めのうちは戸惑う薫だったが、やがて憧れのような感情を抱いていく。2年ぶりの映画出演となる竹内結子が自由奔放なヒロインを好演。

2007年製作/94分/日本
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2007年6月23日

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(C)「サイドカーに犬」フィルムパートナーズ

映画レビュー

2.0徘徊系ではあるが

2024年1月1日
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プライア

3.5【”20年前の夏、母が家を出た後にその自由奔放な女性がやって来て、私に色々な事を同じ目線で体験させてくれた・・。”改めて竹内結子さんの、華やかさ、確かな演技に唸らされる。残念である・・。】

2022年9月29日
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鑑賞方法:VOD

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知的

幸せ

ー 今作を観ると、改めて竹内結子さんの、華やかさ、確かな演技に唸らされる。
  今作を含め、邦画界を牽引して来た竹内さんの突然の逝去が実に残念である。ー

◆感想

・やや、高圧的な母(鈴木砂羽)が家を出て、ヨーコが薫の前に現れた時の、ヨーコと、弟透の戸惑い。
ー ヨーコは、薫たちと同じ目線で話をし、知らなかったコーラの味を教えてくれ、RCサクセションなどの薫たちが知らなかった事を教えてくれる。-

・自由奔放なヨーコは、中古車業をやっていた父(古田新太)の愛人だったようだが、アッサリと見切りを付け、薫に”あたしの夏休みに付き合ってくれない?”と言って西伊豆へ出かける。
ー 薫にとって、ヨーコは知らなかった世界を教えてくれた、素敵な女性なんだろうな・・。-

・20年後、自立した女性として働く薫(ミムラ)の姿も印象的である。

<80年代のポップカルチャーを取り入れながら、内気だった女の子が、自由奔放な女性と出会ったことで、自立して行く姿を描き出した作品。>

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NOBU

3.5子供視点

2020年10月27日
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根岸吉太郎には、滝田洋二郎とおなじで、ポルノ出身者で、まっとうな映画をつくった監督──という認識がある。日本映画風のギラつきがなく、さわやかだった。

ヨーコの来歴には男女間の混濁がある。もしそれを描写してしまうなら、たんなる「日本映画」だった。
がんらい彼女では配役が若すぎるし、きれいすぎる。母が出ていった家庭に入りこんだ間女なのであれば、もっとスレた風情があっていい。
が、ヨーコに世俗やつれの気配がないのは、また男女間の混濁が描写されないのは、子供視点だから、だった。──それが清涼感へつながっていた。

子供の頃、出会った、かっこいい女性。
ヨーコはおそらく、薫にだけは、いい記憶のままのじぶんでいようとしていた。──のだと思う。
ほんとはサバサバなんてしていない──のかもしれない。

大人にはそういうところがある。
昔、出会ったひとに、もう会いたくない、ことがある。
それは会いたくない──わけではなく、費えたじぶんを見せたくないからだ。きれいな記憶のままにしておきたいから、だったりする。

物語は、薫の目線であり、ヨーコの気持ちは描かれていない。だけどそんなヨーコを深読みできる余白を映画は持っていた。

だれにでも子供のときだけ交流があったひとがいる。
大人になって、振り返ってみたとき──ふしぎなひとだったな、あのひと。でも、いろいろ隠していたんだろうなきっと。しみじみ、そんなことを思う──ものだ。

それがこの映画の普遍性だった。
けっこう淡泊な話だったが、ドロップハンドルとソバージュと竹内結子を、わりとあざやかに思い出せる。

ドラマや映画で彼女を見るたび、思っていたことだが、なんとなく、そこはかとなく「無理している」感じのある女優だった。

どこが、そうなのか──具体的に指定できるわけではないが、なんか常に「すごく頑張ってしまっている」印象のあるひとだった。

そして、その印象は、なんとなく、可哀想なのである。
その可哀想は、同情ではなくて「もっと気楽にやればいいのに」と言いたくなる可哀想──なのだった。

山田洋次の遙かなる山の呼び声(1980)で、北海道で女手ひとつで酪農をやっている未亡人、倍賞千恵子を、従弟夫婦がたずねる。
夫婦は武田鉄矢と木ノ葉のこ。博多から、新婚旅行でドライブしてきたのだった。

帰りの車で武田鉄矢が、涙をこぼしながら、ぽつりと言う。
「なんか、可哀想なんだよな、あの姉さん」
あの感じと似ている。

木村拓哉と共演した医療ドラマがあった。キムタクのドラマのなかでも一二を争える低迷を喫したドラマだった。
放映前、いくつかのドラマ出演者が、番宣を兼ねて、対抗競技する──というバラエティ番組があり、たまたま見ていた。

バラエティのノリに不慣れな感じだった。他愛ない競技に、すごく頑張っている印象があった。木村拓哉に気をつかっていたし、じぶんのミスで敗退することを畏れている感じもあった。

生真面目ゆえに、なんとなく、そこはかとなく、損しているのに、それを明るい笑顔や、高めのテンションで隠している気配──をつねに感じる女性だった。

どんなに近しいひとのまえであろうと、家族であろうと、なんらかの品(しな)をつくる、ひとがいる。どこかにいる借り物のパーソナリティであろうとする。人前ではぜったいに「素」ができないひとは、けっこう、いる。と思う。

これらは、むろん、なにも知らない人間の勝手な印象に過ぎないが。
ご冥福をお祈り申し上げます。

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津次郎

3.0竹内結子さんのご冥福をお祈りいたします

2020年9月27日
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鑑賞方法:映画館

 20年前のヨーコさんと過ごしたひと夏を回想する薫(ミムラ)。なんの変哲もない展開の映画かと思いきや、普通でない家庭環境を見事に普通に描いているところが凄い。母親が家出をしてしまい、その間に夕飯の世話をするのが父親(古田新太)の愛人であるヨーコ(竹内結子)。父親は怪しげな中古車販売業を始めてしまうし、家の中にはパックマンのゲーム機を持ち込んだり・・・

 時代背景も1980年代であり、流行でもある昭和30年代を描いた映画たちとは一味違った雰囲気を作り上げている。車やスーパーのお菓子コーナーなどはよく集めたな~と感心させられるけど、年代はバラバラだったり、80年代でも珍しい駄菓子屋が存在感をアピールしていたりします。違和感はほどほどに感じながらも、冷蔵庫の位置はおかしいだろ!と勝手につっこんでみたりするのも楽しいかもしれません。コーラを飲むと歯が溶けるというネタもいいけど、その昔はチクロという発がん性物質のネタもいいかも・・・古っ。

 物語としても大きな展開があるわけでもなく、少女時代をノスタルジックに描いただけなのですが、松本花奈ちゃんが演ずる小4の薫のとても繊細な心理がスクリーンに広がるんです。ヨーコさんがガサツで図々しいと第一印象を植え付けられたのに、彼女に対して徐々に傾倒していく様子。「新しい母親になってほしい」と言いたいのだろうけど、大人の世界とは距離をおいた物の見方をしているかのようでした。

 伊豆への気ままな旅行がクライマックスとなっていましたけど、脇役として登場する樹木希林がツボでした。100万円を拾った住所不定の男の奇妙な話を聞いたばかりの薫が、愛人が相手の男の子供を誘拐という話をも鵜呑みにするシーンだとか、「お母さん」の言葉に敏感であるヨーコさんを気遣うところも微妙にリアルでした。

 「嫌いなものを好きになるより、好きなものを嫌いになるほうが難しい」などという印象的な台詞もさることながら、「飼われているのがいいか、自分が飼うほうがいいか」などと男女の仲とも大人の縦社会ともとれる意味深な言葉も心に残ります。飼い犬として扱われることへの反発もなく、それでも幸せなひと時を感じられる子供時代。そして、ヨーコさんの面影と決別することによって大人しく周りに流されてきた自分も硬い皮から脱皮することができるんでしょうね。

【2007年7月映画館にて】

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kossy
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