劇場公開日 2007年4月14日

サンシャイン2057 : インタビュー

2007年4月10日更新

94年「シャロウ・グレイブ」でのデビュー以来、「トレインスポッティング」「普通じゃない」「28日後...」「ミリオンズ」など多岐に渡るジャンルの作品を数多く生み出し、イギリス映画界を牽引する存在となったダニー・ボイル監督。真田広之、ミシェル・ヨー、キリアン・マーフィなど国際色豊かなキャストが宇宙飛行士に扮した話題の新作SF「サンシャイン2057」のPRのために来日したボイル監督に話を聞いた。(聞き手:編集部)

ダニー・ボイル監督インタビュー
「撮影中はずっとキューブリックの影がつきまとっていた」

ダニー・ボイル監督
ダニー・ボイル監督

――この手の作品は手垢にまみれたジャンルで、似たようなテーマを持った作品が作られています。なぜ改めてこのSF作品にチャレンジしたのでしょうか?

「太陽が描きたかったんだ。たしかに宇宙を舞台にした作品は過去にも何度も作られている。ただ、宇宙を舞台にした作品でも、ファンタジックな方向性を持っているタイプと、我々が作ったこの映画のようなリアルな方向性を持った作品の2つがあると思う。リアルな志向の作品を作るならば、ストーリーの範囲はそんなに大きくないので、やはり多くのことは出来ない。まあ、宇宙船に乗って、ある信号を受けてミッションをこなすっていうパターンがあるわけだけれど、自分たちの知る限りでは初めての試みといえるのが、太陽をテーマにした映画作りなんだよ。太陽は地球にとってのスターであり、すべての生命の源のはずなんだが、現在はどういうわけか、その存在の価値が低く見られているような気がするんだ。

我々の先祖は太陽というものを崇めて大切にしてきたはずなんだけど、100年ほど前に、人類が電気を発明してしまったがために、人が夜の暗闇を恐れなくなり、それと同じように昼の太陽がもたらす光のありがたみを忘れてしまった。そんな太陽を正面から、科学的なストーリーにのっけて描くというところに惹かれたのだろうね。それと、科学というものの傲慢さと素晴らしさを描きたかったんだ。太陽っていう我々の想像を超えたものに手を加え、変えられると信じる科学は信じられないくらいに傲慢だと思うんだが、それと同時に天才的な何かを感じるんだよ。それを描きたかったのかな」

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――本作の中で描かれるリアリティを何処まで信じていいのでしょうか?

「元々のアイデアは、アレックス・ガーランドによるもので、このストーリーや論理は基本的に彼から創り出されたものなんだ。ただ、それを実際にあり得るモノなのかを科学者たちと検証して、最終的には信憑性はあるという結論に至ったんだよ。まあ、実際には、50億年燃え続けるはずの太陽が、内側にある太陽の核となるキューボールから外側を燃やし尽くしてしまって、もしかしたら50億年もたないのではないか?という論理もあるんだよね。まあ、こういうことは博士たちに任せるよ(笑)。

この映画の最後のシーンで、キリアンが自然の核(=太陽)と人類の作った核とが相対するのを目撃するわけだけど、ここにも科学の傲慢さが現れている。我々の英知、科学をもって作り出した核で、自然をどうにかするんだということ自体、かなり傲慢だよね。ただ、これはあくまで映画だよ(笑)。映画だからこそ、あそこまで太陽に近づくことが出来るわけだよね。映画の素晴らしいところって、あり得ないことを見せるだと思うんだよ」

インタビュー2 ~ダニー・ボイル監督インタビュー(2)
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