劇場公開日 2007年1月27日

幸せのちから : 映画評論・批評

2007年1月30日更新

2007年1月27日より日比谷スカラ座ほか全国東宝系にてロードショー

子役と犬には勝てないと言うが、今度のウィルは息子にうっちゃり負け

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ホームレスから億万長者になった男の実話と聞いて、知恵と度胸でビジネス・チャンスを掴む、「細うで繁盛記」の花登筺的世界を想像したのだが(古いなぁ)、まるっきり違う父親愛情物語だった。一文無し、家無し、妻無しの最低状態で、無給の株式仲買人養成コースに入った男が、いかにして毎晩のベッドを確保し、食費を捻出し、5歳の息子をケアしながら研修に通ったか。息子のために頑張り通すオヤジの奮闘は、見ていて気持がいい。

げっそり痩せて貧乏を強調したウィル・スミスは、こんな父親だったら文句ないよねと言いたいほどの満点パパ。強くて優しくて頭が良くて努力家で、ユーモア・センスがあって人に好かれて、こんな人がどうしてホームレスになるほど落ちぶれたのかと疑問も湧くが、深く追求するのはやめよう。というのも、息子のジェイデン・クリストファー・サイア・スミスがむちゃくちゃ可愛くて、演技もナチュラルで大満足。子役と犬には勝てないと言うが、今回のウィルは愛する息子にうっちゃり負けってとこ。それにしてもアメリカのビジネスマンは大変だなぁ。この男のサクセスよりも、すべてが数字に表れた成績で判断される競争社会の厳しさの方が気になった。

森山京子

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