ユメ十夜 : 新作映画評論

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ユメ十夜

劇場公開日 2007年1月27日
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ユメ十夜 1月27日よりシネマスクエアとうきゅう,渋谷シネ・アミューズ,シネ・リーブル池袋にてロードショー

各話約3ページという超短編を新旧個性派監督が映像化

画像(C) 2006「ユメ十夜」製作委員会

なぜ漱石か。それは漱石が百年前、1906年に書簡に書いた「余は吾文を位て百代の後に伝えんと欲する野心家なり」に感動したプロデューサーの企画だから。が、映画は漱石とはあまり関係ない。文庫版で各話約3ページという超短編を新旧個性派監督が映像化した結果、全編とも物語は原作通りではなく、しかし原作のままの台詞(または文章)を必ず登場させてその脚色の技を競う、という仕様となった。「原作に忠実な」がモットーの映画化流行りの昨今、まずはこの姿勢が痛快。

「運慶が仁王を刻む」をストリートダンサーTOZAWAの舞踏で映像化する松尾スズキ監督作の新たなオチの見識。「侍なら悟れぬはずはなかろう」にサイレント映画の形式で挑む市川崑監督作の端正なリズム。「正太郎は町内一の好男子で」を松山ケンイチがお行儀悪くキュートに演じる「地獄甲子園」の山口雄大監督作の怒濤の爆笑。「大きな船に乗っている」をCGで描く天野喜考監督作の夜の海が秘めた輝き。叙情ホラーから爆笑コメディまで作風は多様だが、みな監督の個性が美味。

ちなみに原作「夢十夜」は漱石作品中の異色作。夢の枠組で書かれた10編は暗い幻想が色濃く、神経衰弱を病む漱石の無意識の反映とも言われ、「我輩は猫である」や「それから」に興味はないが「夢十夜」は好きだという愛読者も多い。原作を読めば、監督たちの興味のベクトルがより明快にはなる。

平沢薫

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(C) 2006「ユメ十夜」製作委員会

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