ダーウィンの悪夢 : 新作映画評論

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映画

ダーウィンの悪夢

劇場公開日 2006年12月23日
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ダーウィンの悪夢 12月23日よりシネマライズにてロードショー

グローバリゼーションの内実に鋭く迫る傑作ドキュメンタリー

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人生の“勝ち負け”が経済面での成否によって冷酷に決定される市場原理主義の功罪については、“格差社会”がキーワードになった、ここ日本でも分かった気になれる。だけど、その原理が世界の隅々にまで行き渡った結果としてのグローバリゼーションの内実については、どこか言葉だけの通りいっぺんとうな理解にとどまりがちだ。中央アフリカのビクトリア湖周辺で起こった生活や人間性の激変を描くドキュメンタリー映画「ダーウィンの悪夢」は、鮮やかな手際で、しかも説教臭い教科書的図式性とはほど遠いエモーショナルな次元を強力に維持しながら、グローバリゼーションの“悪夢”を僕らに示してくれる。

貧困、飢餓、戦争、エイズ、ストリートチルドレン……。アフリカに巣食うこれらの悲劇を、僕らはテレビ画面を通過する“情報”として消費するばかりではないか。“かわいそう”と同情してみても、僕らはそれを自分たちから遠く離れたどこかでの“悲劇”として受け流しているのではないか。この映画の偉大さは、そうした“情報”の次元を突き破るべく4年の歳月をかけて現地の人々と豊かな関係性を築き、グローバル化された世界では遠く離れた場所での悲劇も僕らが営む日常生活と地続きであると告げてくれる点にある。この映画で焦点になるナイルバーチという魚は、白身魚の切り身として僕らの食卓に並んでいるかもしれないのだ。恐ろしいのに面白い……必見の傑作ドキュメンタリーである。

北小路隆志

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ABOUT THE MOVIE

  • ダーウィンの悪夢 画像1
  • ダーウィンの悪夢
  • アフリカ・ビクトリア湖に何者かが放った外来魚ナイルパーチによって、湖の生態系に狂いが生じ、湖周辺のみならず、世界の産業や暮らしを変えていく様子を克明に描いた衝撃のドキュメンタリー。一つの大魚によって湖が激変する様子が、大国主導のグローバリゼーションによって変わっていく地球の姿を連想させる。監督は93年より、世界各地でドキュメンタリーを製作してきたフーベルト・ザウパー。
  • 監督:
    フーベルト・ザウパー
    出演:
    ディモン、エリザ、ラファエル、カイジャゲ
    製作国:
    2006年イギリス映画
    上映時間:
    1時間52分
    配給:
    ビターズ・エンド
  • 12月23日よりシネマライズにてロードショー
  • オフィシャルサイト

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