劇場公開日 2006年10月21日

「ハリー・オズボーンの苦悩。」トリスタンとイゾルデ マロピさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0ハリー・オズボーンの苦悩。

2008年6月6日

泣ける

悲しい

主演のジェームズ・フランコが「スパイダーマン」のハリーの印象が強すぎて、全編、ハリー・オズボーンの物語のように見えてしまうのは、ある程度仕方無しに観ました。

映画自体は、正々堂々、真っ向勝負の悲恋、悲劇の王道ど真ん中の展開。
全く持って、遊び球無しに投げ込んでくる。
役者たちも皆、美術に負けず劣らず、きれいに演ずるし、これと言って大きなマイナスポイントも無い。
ハリー、いやトリスタンもアナキン・スカイウォーカーの如く悩みまくる。
違いは、ダークサイドに堕ちないのがトリスタン(笑)。
そして、大事なのは、こういう悲恋の物語はヒロインが美しくないと全く持って感情移入できないが、この問題も本作では心配ご無用。

愛するものが、誰かのものになってしまう、という男であるならば誰もが共感できる痛さが十分に表現されていると言っても良いと思う。
特に、本作は、「誰かのもの」が「命の恩人」であるからなおさら、痛い。

リドリー・スコットも1枚かんでいる作品とあって、映像も安っぽくなく、しっかりとした悲恋の物語を観た気分になれる作品。
「キング・アーサー」とか「ブレイブ・ハート」とか、ああいう感じの映画が好きな方なら満足できるんじゃなかろうか。

マロピ