父親たちの星条旗 : 新作映画評論

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映画

父親たちの星条旗

劇場公開日 2006年10月28日
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父親たちの星条旗 10月28日より丸の内ピカデリー1ほかにてロードショー

巨大で恐ろしいキャンバスにどきりとする細部を滴らせて

画像1(C) 2006 Warner Bros. Entertainment Inc.
and DreamWorks L.L.C.

やはりそうだったのか、という納得ではなくて、そうかそうだったのか、という感嘆。イーストウッドの新作「父親たちの星条旗」を見ると、反射的にそんな言葉が浮かぶ。

映画の背景は、硫黄島の激闘である。日本軍2万名が必死で防戦する黒い砂の島に、米軍3万名が押し寄せる。「太平洋戦線で最も血が流された戦い」はもちろん凄まじい。米軍は、上陸第1日に早くも2000名の兵を失う。殺伐とした島で展開される戦闘は、むしろ慄然とさせられる殺戮劇に近い。

が、もうひとつ大きな主題がある。島に星条旗を立てる兵士たちを撮った、あの有名な写真だ。イーストウッドは、写真を通じて「英雄」の意味を探る。生き残った兵士たちは、なぜ戦争債券の宣伝に駆り出されたのか。

広い視野と深い焦点を確保しつつ、イーストウッドはこの難問に迫る。理屈で迫るのではなく、映像の力と肉体の温度で迫る。硫黄島もシカゴの街も中西部の平原も、それぞれに異なった拍動を刻む。スターを使わず、画面の色彩をウォッシュアウトし、一定のリズムでフラッシュバックを用い……いつものことながら、彼の技術には無駄な飾りがない。巨大なキャンバスにどきりとする細部を滴らせつつ、イーストウッドは、みごとに安定した歩調で132分の長丁場を踏破する。原題の「旗」が複数になっていることも見落とさないでおこう。

芝山幹郎

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ABOUT THE MOVIE

  • 父親たちの星条旗 画像2
  • 父親たちの星条旗
  •  「許されざる者」「ミリオンダラー・ベイビー」のクリント・イーストウッド監督が、太平洋戦争最大の激戦だったといわれる硫黄島の戦いを日米双方の視点から描く映画史上初の2部作。本作はその第1弾で、アメリカ側の視点による作品。硫黄島の擂鉢山に星条旗を打ち立てた6人の兵士の写真の真実と、戦場から生き残り米本土に帰還した3人のその後の人生を描く。
  • 原題:
    Flags of Our Fathers
    監督:
    クリント・イーストウッド
    脚本:
    ウィリアム・ブロイレス・Jr、ポール・ハギス
    製作:
    スティーブン・スピルバーグ、ロバート・ローレンツ、クリント・イーストウッド
    原作:
    ジェームズ・ブラッドリー、ロン・パワーズ
    撮影:
    トム・スターン
    音楽:
    クリント・イーストウッド
    美術:
    ヘンリー・バムステッド
    出演:
    ライアン・フィリップ、ジェシー・ブラッドフォード、アダム・ビーチ、バリー・ペッパー、ニール・マクドノー、ジェイミー・ベル、ポール・ウォーカー、
    2006年アメリカ映画/2時間12分
    配給:
    ワーナー・ブラザース映画
  • 10月28日より丸の内ピカデリー1ほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C) 2006 Warner Bros. Entertainment Inc. and DreamWorks L.L.C.

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