劇場公開日 1989年5月13日

「気持ち悪さが良い」リバイアサン Minaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0気持ち悪さが良い

2017年8月22日
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鑑賞方法:DVD/BD

「ロボコップ」のピーター・ウェラー主演の海洋モンスター・パニック。本作が公開された1989年というのは、海洋パニック作品が多く輩出された年であり、本作とジェームズ・キャメロン監督の「アビス」、人為的被害の方が目立つ「ザ・デプス」の三作品が御三家という扱いになっている。予算的に見ても「アビス」が注目されるのは分かるが、本作はそれに比べてB級感が漂う隠れた名作である。内容は深海を舞台とした「エイリアン」と「遊星からの物体X」といったところだろうか。それ以上に分かりやすい説明は無いだろう。時折訪れるショッキングな変容シーンは本当に「遊星からの物体X」を思い起こさせるものであった。今改めて鑑賞すると怪物のハリボテ感はあるが、古き良き80年代最後のパニック映画としては良作だと思う。体から、取り込んだ人の顔や腕が出ている強烈なビジュアルの怪物のデザインにはチープさは無く、実在する「ワニトカゲギス」科の深海魚そのものの容姿等は製作スタッフのこだわりと苦労が伺える。

また、「リバイアサン」は怪物の名前ではなく、海底に沈んだソ連の船の名称であり、ここで発見したあるものが事の発端となる。きちんとした原因については終盤で描かれているが、その発生要因が船から見つけた酒というまるでB級ゾンビ映画の様な描かれ方だが、突然ドカンと完成形の怪物に襲われるのではなく、内から順番に数を増やしていき、ゆっくりと近づいてくる描写は中々緊迫感があって良い。本編も短いため、サクッと見れるモンスター・パニックの良作だ。近年様々な取り組みをして集客へ繋げようとする最新作に少し疲れたときに80年代のド直球ストレートの作品で癒やされるのも有りだと思う。

Mina