「ブラックユーモアの傑作」博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか パースィさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0ブラックユーモアの傑作

2013年5月27日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

怖い

今や名の知れたキューブリックの作品だからといって過大評価しているわけではない。するめみたいに観れば観る程味が出てくる。
一種の反戦ものとも捉えられるのでは?かといって、堅苦しいものではない。

冷戦時代を背景にしており、
トチ狂った一人の指揮官から発せられた異常な指令で
地球が危機に陥る話。

実際、まったく笑えないテーマ。
それをここまで、よくもまあコメディと化せたものです。

日本人の人間性的にブラックユーモアは通じない時もある、だからこそ、評価に大差が出てくる事は仕方ない事だと思われる。
私は今回は好きな側です、素直に、まさに異常な愛情!笑

冒頭の「こんなことは絶対に起こりえないと保証する」がまず、クレイジー。
そうしてあそこまで大々的に馬鹿みたいな爆発シーンを繰り返し、また作中での人間の論争を描き、
現実で起こりうる核と人間の醜い争いに皮肉を訴えてくる。

白黒だから全然リアルじゃないし、だからこそどこまでも皮肉が冴えてきている気がする。
自らの手で自らを滅ぼそうとする愚かな技術発達。
ゴキブリのように生き延びようとする人間の生殖の本性。

アメリカがドイツナチスを嫌っている事を考えても、博士のヒトラー敬愛心の伺える場面は実に面白い。
最後の優秀な人材の場面で、ヒトラーの戦略と同じくあのアメリカが「優生思想」に乗っ取っている!博士はたまらず「総統!」と叫んでしまうのでしょう。私もまた優秀な人材です、歩けるのですから、と。

まあ、博士の動向は調べると皆さんそれぞれ色んな解釈があるようです。
コメディと理屈を交え、こうして観てから思想を巡らす事が好きな私は、二重の意味でも楽しめています、笑

それにしたってあまりにも映像が美しい。
当時の人間ではない自分にとって、タイムスリップしたような感覚。
当時で観れていたらきっともっと感動したんだろうなぁ。

すごいな、技術とか関係なく、映画はいつだって発想と描き方で名作が生まれてくる。ここまで皮肉で笑えるコメディはない。
傑作。何度だって観たくなる。笑

別に人の死を率直に描いたり、泣かせたりしなくても、ここまで重いテーマを訴える事ができるのです。
是非、観て頂きたい。

パースィ