ボルベール/帰郷 : 新作映画評論

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ボルベール/帰郷

劇場公開日 2007年6月30日
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ボルベール/帰郷 6月30日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズ、有楽座ほかにてロードショー

母の人生を見ることで味わえる、人生の豊かさと濃密な時間

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いきなり、死んだ男たちの墓掃除をする女たちの姿から始まるので、ちょっと驚く。こんな大勢で墓掃除をするとは一体何事かと思う。とにかくこの映画に映されるのは、ほとんどが女たちである。数少ない男たちも町を出て行ったり、殺されたりと、世界は女たちによって堂々と動かされていくのである。だがもちろん、それだけではちょっと寂しいし、私たちだっていずれ死ぬことになるだろうと、彼女たちも思い悩んでいて、いやほんとに年老いていくのは辛いなあと、この映画を見る誰もがそう思うだろう。

そして誰もがそう思い始めたころ、主人公たちの死んだはずの母親が、登場する。彼女は幽霊なのか、現実なのか? と、いきなりサスペンス映画のような展開。しかもその謎解きが、この映画にとって大きな問題ではないことが判明していくからさらに戸惑うかもしれない。しかしそれでいいのだと、この映画は語る。その謎解きの過程で、主人公たちが母の人生を見る=体験することこそが重要なのだと。母の歴史が主人公たちの人生に重なると言ったらいいか。つまり、たったひとりで生きていくだけだったはずの自分自身の実人生が、死んだはず母親の存在によって厚みを増していく、その豊かさと濃密な時間。それを彼らは味わうのである。もちろんその物語を見る私たちも。それこそ至福の時。私たちが映画を見ることの意味は、それ以外にあるだろうか。

樋口泰人

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ABOUT THE MOVIE

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  • ボルベール/帰郷
  • 「オール・アバウト・マイ・マザー」「トーク・トゥ・ハー」のペドロ・アルモドバル監督が、故郷ラ・マンチャのたくましい女たちの生きざまを郷愁と共に描き出したヒューマン・ドラマ。失業中の夫と15歳の娘を養うライムンダ。伯母の訃報を聞き故郷のラ・マンチャを訪れた彼女は、火事で死んだはずの母親の姿を見たという噂を耳にする。06年のカンヌ国際映画祭では、主演のペネロペ・クルスほか6人の女優たち全員が最優秀女優賞に輝いた。
  • 原題:
    Volver
    監督・脚本:
    ペドロ・アルモドバル
    製作:
    エステル・ガルシア
    撮影:
    ホセ・ルイス・アルカイネ
    音楽:
    アルベルト・イグレシアス
    出演:
    ペネロペ・クルスカルメン・マウラ、ヨアンナ・コバ、ブランカ・ポルテージョ、ロラ・ドゥエニャス
    製作国:
    2006年スペイン映画
    上映時間:
    2時間
    配給:
    ギャガ・コミュニケーションズ
  • 6月30日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズ、有楽座ほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

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