アポカリプト : 新作映画評論

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新作映画評論

アポカリプト アポカリプト 6月9日より有楽町スバル座ほか全国東宝系にてロードショー

「手に汗握る」という常套句を体感できる痛烈なアクション映画

画像1(C) Icon Distribution, Inc., All rights reserved
Photo :Andrew Cooper, SMPSP

時代は16世紀初頭。舞台はユカタン半島。使われる言語はマヤ語。背景として描かれるのは帝国の自壊。スター俳優は皆無。

こんなふうに紹介すると、歴史ドキュメンタリーのような映画を連想する人がいるかもしれない。外れ。「アポカリプト」の主人公は豪快に戦う。風のように走り、豹のように跳び、無尽蔵の体力と気力で生き延びる。

ジャガー・パウ(ルディ・ヤングブラッド)は若い戦士だ。といっても、通常は深い森の村で静かに暮らしている。生活の大半は狩りと子づくりに割かれているようだ。

その村がマヤ帝国の軍隊に蹂躙される。殺戮と強姦の嵐が襲う。生き残った者は奴隷や生贄として都へ連れ去られる。帝国の暴虐は容赦ない。人命は鴻毛よりも軽い。

大まかに分ければ、ここまでが第1部と第2部だ。凄惨な戦闘は展開されるが、残酷描写は意外に少ない。心理描写はもちろん最小限だ。一方で、アクションの速度と密度が際立つ。古典的なカットバックを多用しつつ、監督のメル・ギブソンは、荒々しい自然と男たちの強靭な肉体を直交させる。

導火線はしだいに太くなる。いや、爆薬が破裂して、さらに大きな爆薬の炸裂を促すと見たほうがよいか。第3部に用意された森の障害物競走は、非常に見ごたえがある。なによりも、実際にクロスカントリーの選手だったヤングブラッドの身体能力が飛び抜けて高い。第二に、森の自然がアクションによく練り込まれている。地形も獣も植物も、活劇のスパイスとしてフル活用される。しかも、デュオで迫る悪役の危なさが尋常ではない。たぶんこれは、ギブソンのパラノイア的特質がプラスの面に出た結果だろう。「手に汗握る」という常套句をここまでリアルに体感できる映画は、近ごろでは珍しい。

芝山幹郎

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ABOUT THE MOVIE

  • アポカリプト 画像2
  • アポカリプト
  • 「パッション」で世界に衝撃を与えたメル・ギブソン監督が、マヤ文明を舞台にひとりの若者の決死の逃走劇を描いたアクション・アドベンチャー。キャストには映画出演経験のない若者たちを起用し、全編マヤ語で撮影された。マヤ文明後期、中央アメリカのジャングルで妻や仲間たちと平和な暮らしを送っていたジャガーは、ある日マヤ帝国の傭兵の襲撃を受ける。都会に連れて行かれた彼らは、干ばつを鎮めるための生け贄にされそうになったところを何とか逃れるが……。
  • 原題:
    Apocalypto
    監督:
    メル・ギブソン
    脚本:
    メル・ギブソン、ファラド・サフィニア
    製作:
    メル・ギブソン、ブルース・デイビー
    撮影:
    ディーン・セムラー
    音楽:
    ジェームズ・ホーナー
    出演:
    ルディ・ヤングブラッド、ダリア・ヘルナンデス、ラオウル・トルヒーヨ、ジョナサン・ブリューワー、モリス・バード、カルロス・エミリオ・バエズ、フェルナンド・ヘルナンデス・ペレス
    製作国:
    2006年アメリカ映画
    上映時間:
    2時間18分
    配給:
    東宝東和
  • 6月9日より有楽町スバル座ほか全国東宝系にてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C) Icon Distribution, Inc., All rights reserved Photo :Andrew Cooper, SMPSP

アポカリプト

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