大列車作戦

解説

 ドイツ占領下のパリ。敗戦の色濃いナチス・ドイツ軍はフランスの名画略奪を計画。美術館長ピラールからその旨を聞いたフランス国鉄の操車係長ラビッシュは鉄道員たちと一致団結し、輸送を妨害する。レジスタンスたちによる妨害工作が成功する一方、犠牲者も続出。ラビッシュは奔走するが……。命がけの危険な作戦をダイナミックに描いたアクション大作。

1964年製作/133分/アメリカ・フランス・イタリア合作
原題:The Train

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映画レビュー

4.5全てが本物の香りのする戦争映画の最高峰!

2021年6月5日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル、DVD/BD

「グラン・プリ」「ブラック・サンデー」
を観た流れで鑑賞。
私としては、
ジョン・フランケンハイマー監督作品の
中では、やはりこの作品が一番好きだ。
そして、戦争映画の中でも私のNo.1作品
と言って良いだろう。

私は冒頭2作品のレビューで、
フランケンハイマー監督は
本物の香りを醸し出す映画作家と評させて
いただいたが、この作品はその観点での
最たるものではないだろうか。

私はかつて、この映画については、
列車の脱線シーンを中心とする、
映像面での本物感を前提に話をしていたが、
改めての鑑賞で、ストーリー性も含め、
作品全般に本物の香りを感じてしまった。

話の展開でも、
鉄道員の各レジスタンス活動と犠牲、
主人公と宿屋の女主人の戦時下という中での
一時の葛藤と相愛エピソードも、
ドイツ将校の戦時という中で歪んでしまった
芸術・名画への想い等々、
全てに本物の香りが漂っていないだろうか。

私は、過去幾度となく観たこの作品だった
にも関わらず、2時間20分に渡るこの映画の
世界に、飽きることなく新鮮な気分のままに
再び浸ることが出来た。

芸術作品と人命を秤に掛けてしまうという
戦争という時代での空しさや悲しさ、
とのストーリーの骨格の元に描かれる
本物の香り溢れる話の展開と各場面場面は、
まるで自分がこの時代の目撃者であった
かのような感覚を受ける。

ところで、この映画の登場人物はフランス人
とドイツ人だが、彼らの会話は全て英語だ。
日本人である私には余り違和感はないが、
フランスやドイツの方々はこの作品の世界に
充分に入り込めたものだろうか。
マーケット対応的には理解するが、
リアリティという観点ではいつも感じる
悩ましい問題ではある。

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KENZO一級建築士事務所

5.0列車ものアクション映画は数あれど、その最高峰だと断言できます!

2020年8月22日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

素晴らしい!!!
隠れた大傑作です!

正に大列車作戦、タイトル通りの内容です
冒頭にフランス国鉄とフランス陸軍への謝辞があるとおり、その全面的協力の成果がいかんなく発揮されています

列車をモチーフにしたアクション映画ときたなら、期待する全てのことが詰まっています
長大編成の列車、無人で暴走する機関車、脱線、衝突、貨車の走行中での切り離し、路線図で経路の検討、操車場、車両修理工場、機関士の親方、信号所、転轍機の操作、ポイントの動作、保線区の仕事、手動の踏切番、駅長さん、駅舎内の小さなバー
みんな出て来ます、全部入りなんです!
鉄道好きなら堪らないシーンがてんこ盛りなんです!
しかも、すべて本物
特撮なしで脱線衝突事故のシーンをやるんですからたまげた
よくまあ、フランス国鉄もここまで許したもんだと感心してしまいます

是非フランスの地図を手元に置いてご覧になって下さい
列車がトリックを使ってどう経路を変えて、ドイツ軍を騙して元の駅に戻ったのかを地図で列車を追って行くと二倍も三倍も面白くなります
フランス国鉄も時代には勝てず廃線になっている路線が多いようですが、地名で追うことはできます

物語の重要な駅リヴレーンは架空の駅のようです
ドイツ軍の眼鏡の大尉の路線図によるとラニー - トリニー駅が位置関係で符合します
ベア操車場から東に一駅、6キロの駅です
それ以外の劇中に登場する駅の地名は全て実在します
ロケ地はノルマンディーの廃線とのこと

しかも、アクション映画好き、戦争映画好きも大満足出来るストーリーなんです
煩さ方の軍事マニアも唸ること間違いなし

ドイツ軍の本物の兵器もどんどん登場します
圧巻は装甲機関車の登場です
それが実際に人を乗せて走行するんです!

機銃掃射してくるイギリス軍の零戦とも言うべき主力戦闘機も、特徴ある楕円形の主翼でなく、翼端が切欠けているので、なんちゃってスピットファイアかとおもったら、よーーく見るとMK.XV1型というレアモデルじや無いですか!
もうたまりません
終盤でも、B-26 マローダーが危険な程の超低空飛行をかまします

ベア操車場への昼間低空爆撃シーンなぞは、仰け反るようなもの凄いシーンが撮れています
再開発予定の別の操車場をベア操車場に見立てて、本物のダイナマイトを2500キロも仕掛けて本当に爆破したといいます
特撮も少し交えたとのことですが、本当に本物の貨車や信号所をダイナマイトでぶっ飛ばしている映像なんです!
ベア操車場はパリから東に35キロ程のところ
東京なら大宮操車場くらいのイメージの一大車両基地のようです

映画としても、水準はかなり高く面白いんです
まず脚本が素晴らしく良くできています
伏線の張り方回収も手際良く気持ち良いんです
最後の最後まで全然ダレません
配役もよく、登場人物全員のキャラが立っています
それもどんな端役に至るまで全員に神経か行き届いているんです

特に機関士の親方パパブルは見事でした
積荷がルノアールの名作だと聞いて、「ああ、知り合いにモデルの女がいたな、絵の具の匂いがした」って台詞も最高でした!
両替のコインの伏線回収も記憶に残るでしょう

ヴァルトハイム大佐も、叩き上げらしい真面目な少佐も、小物な眼鏡の大尉も素晴らしい役作りです
小太りの駅長も記憶に残ります
そこに主人公役のバート・ランカスター、彼を助ける駅前旅館の女主人のクリスティーヌ役のジャンヌ・モローと、大物俳優二人が締めてくれます

撮影も素晴らしい
極めてシャープに焦点が手前から奥まであっています
夜のシーンか多いのですが、闇夜に黒い機関車と貨車では、真っ黒けになって何が何やらになりそうなところを、上手い照明と撮影がなかなかの腕前で撮影しています
構図の取り方、カメラ扱いも良く、蒸気機関車の牽く長大編成の貨物列車の迫力、急にには停まれない重々しさ、急ブレーキの火花の飛び散る演出、鉄の塊の大きさや硬さ、力強さが画面いっぱいに表現されています

劇伴の音楽もこれぞ洋画の劇伴というべき効果的なものでした

ジュ・ド・ポーム国立美術館はパリのど真ん中
東京でいえば日比谷公園に相当するチュルリー公園内に在ります
コンコルド広場のオリベスクを背にして公園入口に正面を向くと、右手がオランジュリー美術館で、左手にあるのがジュ・ド・ポーム国立美術館です
今は現代美術が中心ですが、戦前はエコール・ド・パリの画家達の名作、戦中はそれに加えてユダヤ人達の収集家から収奪した絵画の数々が集まっていました
劇中、冒頭でヴァルトハイム大佐が見とれているのはゴーギャンの「いつ結婚するの」です
確か数年前に約350億円で売買された名画です
こんなお宝が山のようになって唸っていた訳です

大佐は大金になるとかいって、絵画移送の将軍の許可を取り付けるのですが、実は彼自身がその美術品を我が物として独占したかっただけだったというののも良い設定でした

全てはたった一人の男の芸術への妄執が生んだ悲劇だった訳です
パリ解放は目前であるのに、このたった一人の妄執の為に、民間人が何十人も命を失っていくのです
彼らはレシスタンスであっても、フルタイムの戦士ではない一般人なのです
主人公は国鉄職員なのです
その彼や機関士たちは、機関車を故障させ、脱線させ、衝突させ、レールのボルトを抜いたりするのです
職業倫理から身を斬るより辛いことのはずです
そして報復で自分はもちろん仲間達まで殺さることを知っていてもなおやるのです

フランスの国宝、人類の文化遺産ですが、それがこの悲劇を生み出してしまう恐ろしさ

至宝の芸術品といえどたかが紙の絵です
主人公もそんなものに命を懸けるのはおかしいと言うのです
それでも守り抜くフランス人達
それはフランスの栄光、プライドだからです
人はそれには命を投げだせるのです
これこそ崇高です

しかしラストシーンに漂うなんともやるせない虚無感
素晴らしい終わり方でした

「ミケランジェロ・プロジェクト」というドイツ軍の美術品略奪奪還の映画がありました
それに比べ、このたった一人の男の芸術への妄執が悲劇を生んだという設定が秀逸であったことで、観終わった後の余韻の深さは、本作の方が断然上を行っていると思います

本作の2年後の1966年の作品「パリは燃えているか?」をまだご覧になってない方は、あわせてご鑑賞頂くと一層面白いと面白います

本作の冒頭は1944年8月2日の夜、翌朝のレジタンスの会議では1週間もすれば連合軍がパリを解放するという会話がなされますが、実際のパリ解放は8月25日に遅れます
この辺りも監督もフランス人の観客も、その意味をみな分かって観ているわけです
何を悠長なこと言ってるんだ!と
だって毎年8月25日はパリ解放の盛大なお祭りなんですから
あの「ジャッカルの日」のラストシーンもこの日のお祭りの式典です

列車ものアクション映画は数あれど、その最高だと断言できます!

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あき240

4.0戦争の残酷さ

2018年11月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 1944年、ドイツ軍占領から1411日経ったパリ。名だたる画家たちの時価10億マルクの絵をドイツ軍が運びだす。フランス人ラビッシュ(ランカスター)は運行責任者だったが、美術館館長から直訴され、絵画を守って欲しいと懇願される。

 運転士は酒好きの老体ブール。しかし、連合軍の空爆をすり抜け、列車に仕掛けをして故障させたことでドイツ軍に射殺される。出発が一日遅れ、ラビッシュが運転士に任命される。ホテルで一泊させられ、翌早朝に出発。先行した機関車を脱線させ、ラビッシュは機関車から飛び降り逃げる。報復のためジャックと機関士が銃殺されるが、ラビッシュはホテルの女主人クリスティーヌ(モロー)のもとへ・・・

 レジスタンスからラビッシュたちは列車の3両に白いペンキを塗れと命ぜられ、そこでも死人が数人出た。連合軍の空爆を避ける意味があったのに、ナチスのおっちゃんたちは早速ペンキを剥がすというおバカな行動。そしてラビッシュは足止めのために線路爆破という行動をとる。さらに先を行き、線路のネジを外すという作業。そこでついに輸送を諦めさせるのだった。

 迫力の列車アクション。全て本物を使ってることに驚くくらい凄まじいシーンの連続だった。ラストには、負けてドイツ帰るトラックを止めるが、兵士を運ぶのに手一杯だったシーン。多くの人間を殺した大佐。戦争の残酷さも描いていた・・・

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kossy
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