ロゼッタ
4月8日より、Bunkamuraル・シネマほかにてロードショー
ヨーロッパの若者の現実を描いたパルムドール受賞作

ダルデンヌ兄弟の主題やスタイルは、彼らの生い立ちやキャリアと深い結びつきがある。労働者のコミュニティで育った彼らは、その記憶=歴史を後世に伝えるために労働運動などのドキュメンタリーを作り始めた。そんな彼らが、劇映画に表現の可能性を求めたのは、時代の流れのなかでコミュニティが解体し、人々が孤立し、新しい世代にとって歴史が何の意味も持たなくなってしまったからだ。
彼らは劇映画を通してこの現実を徹底的に掘り下げ、普遍化し、そこから未来=新しい記憶を切り開こうとする。自堕落な母親から何の記憶も得られず、孤立した状況のなかで壮絶な苦闘を余儀なくされるロゼッタ。彼女の物語から浮かび上がるのは、親から子へと伝えられてきた最低限の価値観すら空洞化してしまった現代そのものだと言える。
この映画のなかでロゼッタは、母親と同じような非人道的な存在になっても仕事を得るか、社会から抹殺されて無になるかの残酷な二者択一を迫られる。彼女はその両極を激しく揺れ動くが、最後に他者との感情の衝突のなかで、初めてこの二者択一が作りあげた檻から外に踏み出す。それは、彼女が新たな記憶の糸口を開く瞬間でもあるのだ。
(大場正明)

1895年のロンドン、華やかな上流社会。独身生活を謳歌するアーサー卿は、親友の妹との結婚に踏み切れない優柔不断男。ある日、かつてのアーサーの婚約者で今はウィ-ン社交界の華となったチーヴリー夫人がロンドンに戻ってくる。アーサーの友人、ロバート夫妻が催すパーティで夫人は意味深にロバートに接近。それはロバートの過去の秘密をネタに彼を脅迫し、自分が投資している計画を議会で後押しさせるためだった。
原題:Rosetta
監督・脚本:リュック&ジャン=ピエール・ダルデンヌ
出演:エミリー・デュケンヌ、ファブリッツィオ・ロンギオーヌ、アンヌ・イェルノー
字幕:寺尾次郎
1999年ベルギー・フランス合作/1時間33分 配給:ビターズ・エンド
オフィシャルサイト
