劇場公開日 2000年4月1日

玻璃(ガラス)の城 : 映画評論・批評

2000年3月29日更新

2000年4月1日より岩波ホールにてロードショー

香港美形スターの競演で魅せる甘い恋

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人はこの作品を少女漫画だという。物語は、大学時代の同級生のカップルの愛の軌跡がメーンだが、なんせ前作「宗家の三姉妹」でも三姉妹の遺恨や確執と言った部分へのツッコミが足りなかったメイベル・チャン監督である。今回も不倫愛に突入した二人のドロドロした部分が描かれてなく、妙に甘っちょろい。だが、映画「アナザヘヴン」で江口洋介の隠れた肉体美に惚れた某記者が「江口と森高千里のラブ・シーンならきっとキレイだろうから見たい」と漏らしていたが、クサかろうが、甘かろうが、スー・チーの老けメイクが全然“老け”になっていなかろうが、美男美女の共演ならOK! そう思わせるくらい、レオン・ライとスーのコンビは美しい。

二人が過ごした70年代~97年の香港返還という激動の香港を絡めて描いているあたり、レオンの代表作「ラヴソング」と重なる部分も多い。そこに本作品は、一工夫加えてきた。主人公二人の息子と娘が恋に落ちるという親子二世代に渡ってのロマンを描いているのだ。スクリーンは、レオンたちの思い出と、子供たちの現在進行形の恋を交互に映し出す。この編集の上手さも、先の甘っちょろさをカヴァーする要素となっている。

中山治美

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