劇場公開日 1999年11月13日

黒い家 : 映画評論・批評

1999年11月15日更新

1999年11月13日より丸の内プラゼールほか全国松竹系にてロードショー

黒い家の“心がない”夫婦に蝕まれる日常

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原作を読んだときはあまりの恐怖に震えた。主人公の保険マン、若槻慎二(内野聖陽)をジワリジワリと追い詰めていく菰田重徳(西村雅彦)と妻・幸子(大竹しのぶ)の、常軌を逸した行動、その過去の凄惨さに戦慄した。

原作の持ち味を十分、引き出せれば、どえらい傑作になる、と期待した。ところが…アレレ、だった。わしゃ、し~らない。

菰田重徳役の西村雅彦は全然コワくない。笑ってしまう。森田芳光監督の演出プランなのだろうけど、観る側が苦笑浮かべるようなサイコものは良くないと思う。重いくらいの芝居、コワさを西村雅彦に要求してもよかったと思う。彼が毎日毎日、保険金欲しさに若槻のいる事務所を訪ねてくるくだりの、西村の妙にヘラヘラ繕った表情芝居は興ざめだっ た。西村雅彦という俳優はもっとウマい役者だ。こんなもんじゃない。真価が観れず残念。

大竹しのぶの、ラストの若槻に襲いかかるくだりなんかジェイソン風になっていたのに愕然とした。原作も“これでもかっ!”の展開だが、もう少しスマートな恐怖演出ができなかったのだろうか。そう、この映画にはスマートさがないのだ。違う言葉で言えば、品がない、のだ。

田沼雄一

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