ウイークエンド

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ウイークエンド

解説

ジャン=リュック・ゴダール監督が、週末に旅行へ出かけた夫婦が狂気の渦へと飲み込まれていく姿を描いた不条理劇。

パリで暮らす夫婦ロランとコリンヌは、ある週末、コリンヌの実家がある田舎町を目指して車で旅に出る。夫婦にはそれぞれ愛人がおり、コリンヌの父の遺産を手に入れた後で互いを殺害しようと密かに企んでいた。しかし道中で想像を絶する渋滞が発生して人々が集団パニックに陥り、夫婦は次々と異常な事件に見舞われてしまう。

夫ロランを「インドシナ」のジャン・ヤンヌ、妻コリンヌを「女王陛下のダイナマイト」のミレーユ・ダルクが演じた。ゴダール監督は本作を最後に商業映画から一時離れ、政治的映画を匿名で製作する「ジガ・ベルトフ集団」での活動に移っていった。

1967年製作/104分/フランス・イタリア合作
原題:Weekend
配給:マーメイドフィルム、コピアポア・フィルム
劇場公開日:2023年4月29日

その他の公開日:2002年4月27日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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映画レビュー

4.5革命を企図したゲリラ戦

2024年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:その他

興奮

知的

ジャン=リュック・ゴダール監督作品。

「俺は現代に文法の終わりを告げに来た
 夜明けが来た
 あらゆる分野 特に映画の分野に」

若い男女がブルジョワの資産強奪を企てる週末の物語であるはずで、それをドキュメンタリー的手法で描くのだが、随所に「おとぎ話」が挿入され、最終的にはゲリラ戦になる意味が分からない(好き)作品。

上述の言葉通り、映画の文法を終わらせようとしている。車が事故に遭い、転覆するように、映画を事故らせ、転覆させている。例えば劇伴について。序盤の女の性的な語りに劇伴が挿入される。しかしそれは過度とも言える挿入で、観客の感情を高ぶらせるといった効果を発揮しない。むしろ耳障りな雑音でしかない。
また本作は一貫して引きの画で長回しが多用されている。それは演出を施さないドキュメンタリーな様子であるが、車の渋滞シーンでは渋滞を待つ人々の多様な動きが観察されるし、渋滞の長さーその舞台装置の準備の凄さーに圧倒されてしまう。さらに「アクション・ミュージカル」の8分尺の長回しではカメラが縦横無尽に動き、それに合わせて役者が動き、ピアノが鳴るのだから凄い。スタジオ撮影の劇を放棄したかにみえて、むしろそれ以上に演出をし、劇を生みだしている。だからかつての文法に終わりを告げるとともに新しい文法をつくりだしている。

さらに終盤のゲリラシーンで突如として挿入されるクローズ・アップのショットは、撃たれ死にゆく女の顔を映すのだが、その顔は主人公の女ではない全くの別人である。この「編集のミス」は、映画はたかがイメージであることとそれでも私たちはイメージに感動してしまうことを暴くのである。

かつての映画を葬り、革命を企図したゲリラ戦。この戦いの勝敗は、ゴダールが後の映画に多大な影響を与えたのだから言うまでもない。

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abokado0329

3.5タイトルなし

2023年6月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

わからないから寝落ちたのか、寝落ちたからわからないのか。メッセージを大づかみに取ることはできるんだけど。
順番は逆だけど食人族的。

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ouosou

2.5苦手な一作

2023年5月14日
iPhoneアプリから投稿

渋滞シーンは確かに面白いのだが、
あまりにも不条理すぎて。

こちらまで夢の世界にいってた

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JYARI

3.5資本主義で明確になった階級。欲望を肥大させる上流階級の人々。性、高...

2023年5月9日
iPhoneアプリから投稿

資本主義で明確になった階級。欲望を肥大させる上流階級の人々。性、高級車(ブランド志向)。

資本主義の成れの果てには、いつも苛立っていて、虚栄心にあふれた人間の姿があった。自分勝手で、効率がよいことばかりを考えている(それが逆に渋滞を引き起こしたり、ケンカが始まったりして全然効率的ではないのだけれど)。

そうすると、すこし立ち止まって考えることを拒むようになり、道中で出会ったアリスを焼き殺してしまう。物語の死。

物語が滅びた後に残ったのは不条理の世界だった(※1)。そのうちに、文明を失い、狩猟と弱肉強食の世界に回帰する。

最後のシーンは、夫の肉が入った料理を超然と食べる女の姿が描かれる。「あとでおかわりするわ」と超然と言い放つ。

人間は文明を失っても、たくましく生きていけるみたいだけれど、わたしは、物語のある世界がいい。「FIN」が表示された後、「物語の終わり」「映画の終わり」と表示された。つくづくこの「ウイークエンド」で描かれた世界がフィクションでよかった、と思うと同時に、世界の物語的なものすべてが、終焉を迎えるという意味じゃないといい、と思ったりもした。

※1 労働階級の人々の思想の独白が印象的。上流階級は物語を殺して、文明を失っていくけれど、労働階級には希望が残されている、ということなのかしら、

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imymay