うつせみ : 新作映画評論

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うつせみ

劇場公開日 2006年3月11日
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うつせみ 3月11日より恵比寿ガーデンシネマにてロードショー

鬼才キム・ギドクの向かうところ、敵なし

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映画「魚と寝る女」で客に恋する釣り屋の女、「悪い男」で一目惚れした女性を自分のシマである娼婦宿で働かせるヤクザ、「サマリア」で娘かわいさに殺人を犯す父……と、一方的な愛を描いてきたキム・ギドク監督が、孤独な男女の“寄り添う愛”を描いた。と言っても、普通のラブストーリーで収まらないところが、鬼才のスゴイところ。何せ主演の2人は、最後まで一切セリフがないのだから。

留守宅に侵入しては普通の生活を楽しむ青年が、偶然出会ってしまった、独占欲の強い夫に疲れ果てている人妻。青年は人妻を連れ去り、留守宅巡りの旅に誘う。最初は距離のある2人だったが、人妻が警戒心を解き徐々に青年の行動を真似ていく。留守宅に飾ってあった家族写真の前に立ち、一緒にカメラに収まる2人。留守宅に残されていた洗濯物を洗う2人。そして自然に一つのベッドで体を寄せ合うようになる2人……。誰にも邪魔されない時間を楽しむ2人が愛らしくて、見ているこちらの頬もつい緩んでしまう。もっともその日々は、人妻の夫の怒りに触れて危機を迎えるのだが……。

映画後半の、凡人の想像を遙かに超える展開は見てのお楽しみ。住む家は立派だが、内実は寂しい裕福層への皮肉もチラリ。鬼才の向かうところ、敵なし。

中山治美

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ABOUT THE MOVIE

  • うつせみ 画像1
  • うつせみ
  • 「魚と寝る女」「サマリア」のキム・ギドク監督が描く、寡黙な青年と人妻の奇妙な物語。チラシ配りをしながら空家を見つけては忍び込み、そこでしばらく過ごすという生活をしている青年が、ある家で夫に暴力を振るわれている人妻に出会う。2人はいっしょに逃避行に出るが、その先でも空家に忍び込み、やがてある空家で死体を見つけてしまう。04年のベネチア国際映画祭で監督賞、国際映画批評家同盟賞など4部門を受賞。
  • 原題:
    3-Iron
    監督・脚本・製作:
    キム・ギドク
    撮影:
    チャン・ソンペク
    音楽:
    SLVIAN
    美術:
    チュ・ジンモ
    編集:
    キム・ギドク
    出演:
    イ・スンヨンジェヒ、クォン・ヒョゴ
    製作国:
    2004年韓国映画
    上映時間:
    1時間29分
    配給:
    ハピネット・ピクチャーズ、角川ヘラルド・ピクチャーズ
  • 3月11日より恵比寿ガーデンシネマにてロードショー
  • オフィシャルサイト

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