スチームボーイのレビュー・感想・評価
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いやいや、この時期にコレは凄いでしょ。
今でこそCG普通にアニメに使われてるけど、1990年代末期にコレは凄いわ。結局何度も頓挫しかかり10年近くかかって公開が2009年。24億かけて11億しか回収出来なかった失敗作ですが大友氏とスタッフのこだわり、何人もの屍の上に聳え立つスチーム城は流石の完成度です。大友の仕事に参加して後悔したく無い技術者の意地、今見ても素晴らしい、全く古さ感じない。DVDで見てしまったが映画館でみるべき映画でした。
さて話しは割とシンプルで、父と子の科学に対する考え方の違いで喧嘩になり、間に入ってしまった孫の話です。
科学が持つ二面性を家族に置き換え正解が無い事がメッセージで、その判断を孫と視聴者に託してます。
声優はメインを俳優陣で押さえていますが私は全く悪いとは思わなかったです。どっかで聞いた声より先入観無しで聞けて好きです。
テーマは上記のように難しいのですが話はシンプル、でも宮崎氏みたくキャラを濃く描かないから記憶に残りずらいかな。女性キャラのイマイチ感は大友氏のもはや特徴です。期待してはいけません。
あとスチームパンクと言う世界観が受け入れられない人はダメかも。
私はかなり楽しめました、チャンスが有れば映画館で見たいと思ってます。
ストーリーがわかりやすいので観やすかった。 様々な蒸気機関がワクワ...
ストーリーがわかりやすいので観やすかった。
様々な蒸気機関がワクワクする。
そして映像が綺麗。街の情景や、蒸気、空、細かい部分まで素晴らしいです。
大きな力を持っていても、その力をどう使うのか。人間の欲の深さだったり、理想だったり、希望だったり考えさせられました。
確固たる機械描写が最大の魅力、曖昧な人間描写が最大の難点
時は産業革命期イギリスのマンチェスター、主人公ジェームス・レイ・スチムは祖父ロイド、父エディを敬愛する発明一家の子。
より強力な蒸気機関を可能にする超高圧蒸気封入器”スチームボール”を巡る科学者たちの衝突にジェームスは巻き込まれ、巨大蒸気装置”スチーム城”がロンドンを震撼させる……
サイバーパンクの傑作として今なお名高い『AKIRA』で知られる大友監督が描くスチームパンクの大作。
監督のこだわった蒸気と機関の描写は流石であり、その躍動・熱気・存在感はスチームパンクという虚構を凄みを以てこちらに納得させてくれるものがある。
ただ哀しいかな本作は登場人物の言動が「癖が強いのにキャラは立ってない」と非常に没入感を妨げる代物になっており、この結果冒険活劇的な爽快感は無きに等しい。
スチームボールを巡り袂を分かったが主張と行動がいまいち噛み合わないロイドとエディ、物分かり良さげに振る舞いつつ一方的な行動を推し進めるロバート博士と助手デイビッド、立ち位置はヒロインだがあまりに言動が傲岸なスカーレットに、結局主人公として「科学の未来」を明白に示すことなくあちこちの陣営に近寄っては場当たりに事態対処するだけのジェームス。
これらの好感を抱きづらい登場人物がいまいち感情を声に乗せずにめいめい主張を垂れ流すものだから、物語は視聴者の右耳から左耳へ感慨なく通り抜けていくばかりである。
エンディングロールを見る限り本作は明らかに描きたかった部分を描き切れていない節があるが、
それが「この作品って何かの前日譚なんだっけ」と見えてくるレベルにストーリー自体は曖昧かつ単体の魅力に乏しい。
確固たるのは蒸気吹き上げ歯車を嚙み合わせ蠢く機械装置だけであり、そこに魅力を見出せるかどうかがこの映画への印象を左右するだろう。筆者としてはそれだけでは物足りないと思うが。
極限のつまらなさ
いくらドラマチックに盛り上げようとしてもネタが蒸気機関だと無理がある。
みどころはどこ?
歴史物?開発ドキュメンタリー?
アニメで表現する必要性は?
大友克洋が、製作期間9年、製作費24億円,作画枚数18万枚で描く空想冒険活劇と聞き期待して観たがビックリするほどつまらない。
どんだけ金をかけて大量の作画で作っても物語自体がつまらなければ何もならない。
圧倒的独創性
大友克洋監督の最新作の情報を得て、いてもたってもいられず、今作を再視聴しました。
とにかく、背景、人物の動き、テンポ、設定、音響、そのすべてが見事としか言いようのない、傑作です。俳優陣も、力量のある方たちを起用していて、違和感もなく、明らかに、今作から十五年が経過した今よりも、質は高いと言わざるを得ません。
これだけの書き込み量、アニメーション力、演技力が、現在のアニメ業界にも継承されていることを、切に願います。
スチーム(蒸気)を観よ!
蒸気の描写を見るだけで価値がある。
公開時に小学校低学年だった息子と観に行った。AKIRAが家にあったので、息子も大友さんファンに。
そして子どもの目には、とてもワクワクする映画になっていたようだった。
アニメ映画としてはとてもレベルの高い作品。 世界観は良いのだけれど...
アニメ映画としてはとてもレベルの高い作品。
世界観は良いのだけれど、物語に勢いがなくキャラクターが薄い。
1本の映画としてみると悪くはないけど良くも無いという感想。
科学を信じて
長編アニメーションとしては『AKIRA』以来となる大友克洋監督の2004年の作品。
公開時は『AKIRA』のような作品を期待したのか、ファンからの反応もイマイチ、興行的にも不発に終わった。
が、月日が経って久し振りに見てみれば(多分劇場で観て以来)、大傑作!とまでは言わないが、“空想科学冒険活劇”としてそれなりに面白い。
謎の発明“スチームボール”。
それを巡る争い。
少年の冒険。
THE王道!
大友克洋もただ純粋にサイエンスとアドベンチャーの娯楽活劇を作りたかったんだと思う。
『AKIRA』みたいな作品が大友克洋、と期待するのはこちらの勝手、酷な事でもある。
映画監督は自分の作りたいものを作ればいいのだ。
作画力はいつもながら圧倒的!
メカニックなどは緻密でディテールまで拘り抜き、中でも空飛ぶスチーム城は蒸気の質感共々圧巻!
また、19世紀のイギリスの街並みも素晴らしく、雰囲気も醸し出す。
ストーリーやキャラ描写がちと弱いのは否めないが(お嬢様がウザい…)、メッセージ性は充分。
科学とは、何なのか。
人類の夢であり、英知であり、力であり、財産であり、富である。
が、それが戦争に使われる不条理…。
科学は戦争の為の武器でしかないのか…?
また、主人公の少年レイにとっては、科学を巡って祖父と父が対立してるのも辛い事だろう。
暴走する父と、それを止めようとする祖父。
単純にどちらが善悪じゃない気もした。
父も戦争の兵器の為に科学を使ったのではなく、ただただ科学の力を証明したかったのだ。
しかし、それが時に世界を脅かす…。
そんな中でレイは、悩みながらも、純粋に科学を信じて…。
戦争で猛威を振るう兵器。または子供を喜ばす遊園地にさえなる。その原...
戦争で猛威を振るう兵器。または子供を喜ばす遊園地にさえなる。その原動力がスチームであったりと色々な単語が出てくるし、展開も絡んでくるが見ていてわかりやすい。素直に楽しめたかな
期待されるのも大変
もう10年も前になるのか…当時の僕はアシスタントをしていて漫画家を夢見る青年だった。
当然のように大友克洋のファンで、CMを見て新作が観れるぞ!クオリティもやはり高そうだ!ポスターも格好良いぜ!と思って映画館で友だちと観たわけだが、見終わって何とも、無言で映画の話はしなかったというか避けた記憶がある。
期待が高すぎたのかなぁと感想として10年持っていて、久しぶりに子どもたちと見たのだけど、絵も背景も大友さんらしくて大好きなのだけど、キャラクターと設定が弱いんじゃないかと思ってしまう。子どもたちには難しくて、大人にはスチームって…と思ってしまうのではないか?他のアニメでは魔法や人の力を超えた物が主軸にあるのに弱過ぎると思ってしまい、
かなり時間をかけて調べて細部にまで拘った時代背景とそれに合うギリギリのリアルなファンタジーに感服すると同時に物足りないと感じる矛盾が生じてる気がする。
キャラクターで目立つのはおじいちゃんとヒロインだと思うのだけど、ヒロインがヒロインらしくなく(可愛くない)、いてもいなくてもいい存在で主人公はもっと男の子っぽい声でもっとやんちゃな方が良かったんじゃないかと思う。
それでもやはり細部の拘りや背景、キャラクターの表情やシワや動きは観て勉強になる。というか好きだ。
ポスターの方が立派な映画
映画『スチームボーイ』はスチームパンク作品だ。
イギリスのヴィクトリア朝時代の科学や文化を取り込んだ舞台設定、蒸気を動力としたギミックを盛り込んだ作品世界ということだ。
今でこそ市民権を得つつある単語「スチームパンク」は、劇場公開時の2004年時点では世間一般には知られてないジャンルであったかと思う。
そういう意味では目新しい刺激を提供したはずだ。
理屈はわからんけど、蒸気がいっぱい詰まった鉄の塊"スチームボール"をめぐり、祖父と父と息子の親子三代でくっついたり離れたりの冒険活劇が本作ストーリー。
蒸気が主要エネルギーの世界で、いくらでも蒸気を生み出し、かつサッカーボール程度のサイズというコンパクトさ。現代の科学でも到達し得ないであろう超技術。こうなったら何でもやってしまえと仰天技術が目白押し。
もっとも大半は軍事兵器なのだけど。
親子三代の男臭い作品で、女っけといえばオハラ財団のお嬢様・スカーレットただ一人。
確かにイギリス産業革命は男の価値を押し上げた時代だろうが、それをそのまま映画に持ち込まなくてもいいではないか。
しかもせっかく劇中たった一人の華だというのに、ペットの子犬には虐待じみた扱いだし、どこまでいってもお嬢様然としていてレイ少年とはちっともラブラブにならない。
そして一度たりとも何の活躍もしない。
こんなヒロイン、ちょっと他に見当たらない。チョイ悪の峰不二子だって、お風呂大好きしずかちゃんだって、もうちょっと活躍するシーンあると思うんだが。
また親子三代の壮大な親子喧嘩とは別に、アメリカ財団vsイギリス政府の科学対決もあるのだけど、これがまたハードな設定。
近代化の流れに従って、科学を下地においた軍事進出が本音。蒸気満タンのスチームボールは、両陣営にとっては夢のデバイス。ボールの争奪戦を兵器プレゼンの舞台に替えてガチンコ勝負。
わりとしっちゃかめっちゃか。
しっちゃかめっちゃかといえば、キャラクターが無駄に多くて芋洗い状態なのはどうしたものか。
もっと掘ればいい味出そうな財団のエージェントとか、レイ少年の父・エディのライバル科学者・ロバートとか。
尺は2時間超で十分あるはずなのに、キャラの使い回しはどうにも未消化に終わった感が強い。
なによりガッカリするのは、ポスターやPC壁紙に描かれる画と本作映像とのギャップだ。
見ているだけでワクワクしてくる質感とエモーションが込められたポスターに比べ、本作映像は薄っぺらいシーンがチラホラと。
本作より見栄えのするポスターで釣って、観客をガッカリさせるのは勘弁して欲しい。レン少年なんぞ、引いたシーンでは3.5頭身くらいに見える。そんな映画じゃないでしょって思う。
いつまで噴出しても絶えることのないスチームボールの謎を解けとか無粋なことは言わないから、身内のケンカで収拾ついてしまう映画にしないで欲しかった。あとポスターとのギャップ。
前田有一氏も本作レビューで
「大友作品に求められるレベルは高い。まだまだこの程度では観客は満足すまい。」
といってるが、どうしたって大友克洋の長編アニメーション。否が応でも期待は高くなってしまう。
だからこそ、「なんで?」となってしまうのは否めない。
中身は親子三代の壮大なケンカ&米英蒸気兵器対決のスチームパンク。
わりとベッタベタなストーリーなのだ。
それで長尺というのも、観客にとってはかえって苦痛。もう少しスリムにできたんじゃないかと思えて仕方ない。
では評価。
キャスティング:4(ヘタとは思わないけれど、あんまり印象に残らない)
ストーリー:4(典型的な中身なのだから、もっと短くできると思う)
映像・演出:6(そんなに悪くないけれど、とりたてていいとも感じない)
ヒロイン:1(こんなにかわいげがなくて、しかも活躍しないヒロインはみたことがない)
キャラクター群像:5(もっと活躍できる潜在力はあったはず)
というわけで総合評価は50点満点中20点。
ポスターから想像させる期待感とのギャップが激しい作品。
映画『AKIRA』だけじゃ満足できない人、映画『SHORT PEACE』の予習として期待を"下げて"おきたい人にはオススメ。
「機械」するココロ
今回は親しい友人に薦められて、レンタル店へ。
見れば、2004年公開とあるではないか。公開当時の自分の年齢が、主人公レイに近かったこともあって、映像のメカニックさに興奮しながらも、どこか懐かしさも感じつつの鑑賞であった。
予告にもあったように、かなりの時間とお金をつぎ込んでいるだけあって、映像のクオリティは最高級のものだ。特にボイラーから吹き出す蒸気(スチーム)の動きはまるで実写のよう。ただテレビ画面では暗い部分が見えづらかったのと、明らかにCGを使用したなってところが散見され、少々残念だったが。
映像、音楽、グラフィック、声優はかなりのレベルではあるのだが、いかんせんストーリーの展開がその分、雑に感じてしまった。もう少し冒頭のほうで、スチームボールが何なのか、なぜ大切なものなのかを明らかにしてほしかった。訳もわからんうちに車?が家につっこみ、誘拐され、スチームタワーへ・・・?前半は、少し置いてけぼりをくらった感じだった。
本作のテーマというかミソといえば、祖父と父親との間の、「科学」に対する向き合い方の齟齬だろう。中盤から後半にかけてそのすれ違いがいつしかスチームタワー始動へと結びついていくのだろうが、なんだか鉄砲合戦が始まってしまったおかげで、本題がかすんでしまった感じがする。もちろん、映像としては申し分のない迫力だった。
エンディングの「絵」で、「おっ!」とさせられた。少年のその後もしっかり描かれていて、ほっと一安心した。ちゃんと「お約束」をわきまえている証拠である。エンディングの途中で、空をパラシュートみたいなやつで覆い尽くされ、兵士らしき人が銃を構えている横で、電球が灯っているシーン。これは「深い」。かくして、産業革命において絶対的地位を確立した科学技術は、おじいちゃんが危惧していた通り、戦争の兵器、他者を傷つけるための道具として利用されることになってしまったのだ。しかし同時に、ランプのように文化に灯りをともすこともできるのだと。「科学」は、いかようにでも利用できるというメッセージを読み取ることができるのだ。
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