英雄の条件 : 新作映画評論

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英雄の条件

劇場公開日 2000年8月12日
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英雄の条件 8月12日より渋谷東急ほか全国松竹・東急系にてにてロードショー

名優たちの重厚な演技で魅せる男泣きドラマ

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フリードキン監督は、古代宗教やアフリカの美術、中国の漢字など、異教的な要素を作品に必ず盛り込む。これは決して偶然ではない。彼は犯罪捜査や裁判などの題材を好んで取り上げ、追われる者と追う者、裁かれる者と裁く者を分かつ境界線の危うさを描きだしてきた。制度が明確な一線を引いても、人間の本性からすればその違いは紙一重であり、立場は容易に逆転し得る。つまり彼は、異教的な世界に既成の制度が通用しないように、制度で割り切れない本能や衝動の所在をある種の異教的な領域として表現してきたのだ。

この映画で異教との境界は、チルダースとホッジスの間にある。真相を調査した弁護士は親友の無実を疑い、自分を窮地に追いやった彼に衝動的な殺意すら抱く。しかしその殺意こそが彼に親友を救う弁護士としての資格を与える。

チルダースはかつてホッジスを救うためにベトナム人捕虜を殺害した。ホッジスが反対の立場であれば、同じことはできなかったはずだが、衝動的な殺意を抱き、異教的な領域に踏み入った今ならできる。チルダースは制度の下では殺人者だが、この異教的な領域に命を預ける軍人たちには決して裁くことができない殺人者でもあるのだ。

大場正明

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