プルートで朝食を : 新作映画評論

掲載作品数22807

ミラーズ

新作映画評論

プルートで朝食を プルートで朝食を 6月10日よりシネスイッチ銀座ほかにてロードショー

「嫌われ松子の一生」ならぬ「母恋いオカマの半生」

画像(C) Pathe Production Limited 2005

一時はハリウッドにも渡り、さまざまなジャンルに手を染めてきたニール・ジョーダンだが、彼の作品の中心命題はデビュー作「殺人天使」(82)以来変わっていない。つまり故郷アイルランドのひと・文化・歴史・幻想である。なかでもそれが最もデストロイなかたちで表れた、おそらくジョーダン映画中最大の傑作が、98年の「ブッチャー・ボーイ」(何故か日本ではビデオスルー)。この「プルートで朝食を」はその原作・脚本家であるパトリック・マッケイブとのコンビ第2作なのだ。

実は両者、かなり共通項は多いのだけれど、ともに主人公からして「母なる存在」に取り憑かれたようなアウトサイダー。「ブッチャー~」の場合は聖母マリアを幻視する凶悪極まるガキであったが、今回は自分を捨てた瞼の母を探し求める女装男(キリアン・マーフィ、一世一代の快演)。1960年代末期から70年代へと至るアイルランド~ロンドンを、さまざまな人との出会いを経験しつつ、ポップ・ソングとともにひとり往く姿は、まさに「嫌われ松子の一生」ならぬ「母恋いオカマの半生」だ。グラム・ロックの時代ともシンクロするとはいえ明らかに異形の者でありながら、周囲を何故か惹きつけて変容させていく不思議な存在感。まさしくトリックスターの面目躍如として痛快である。

ミルクマン斉藤

ブックマーク: この記事をYahoo!ブックマークに登録する この記事をはてなブックマークに追加する この記事をlivedoorクリップに登録する この記事をBuzzurlにブックマークする この記事をnewsingにピックアップする

ABOUT THE MOVIE

  • プルートで朝食を 画像1
  • プルートで朝食を
  • 「クライング・ゲーム」「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」のニール・ジョーダン監督が、「ブッチャー・ボーイ」のパトリック・マッケイブと再びコンビを組んだコメディドラマ。舞台は60~70年代のアイルランドとイギリス。女装が趣味の青年パトリックは、自分が孤児であることを知り、母親を探す旅に出るが……。主演に「28日後…」のキリアン・マーフィ。リーアム・ニーソン、スティーブン・レイらジョーダン組の常連が共演。
  • 原題:
    Breakfast on Pluto
    監督:
    ニール・ジョーダン
    脚本・原作:
    パトリック・マッケイブ
    製作:
    スティーブン・ウーリー
    撮影:
    デクラン・クィン
    出演:
    キリアン・マーフィ、リーアム・ニーソン、スティーブン・レイ、ブレンダン・グリーソン、ブライアン・フェリー、イアン・ハート
    製作国:
    2005年イギリス映画
    上映時間:
    2時間7分
    配給:
    エレファント・ピクチャー
  • 6月10日よりシネスイッチ銀座ほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C) Pathe Production Limited 2005

プルートで朝食を

  1. 作品ページ
  2. 映画レビュー
  3. 注目特集
  4. 映画評論
  5. 動画・予告編
  6. フォトギャラリー
  7. DVD・ブルーレイ
  8. けいじばん
  9. 映画館検索

- PR -

ミラーズ

ガイド

新作映画評 人気映画評論家による最新作批評のコーナー。近日公開または公開中の最新作の中から編集部が選りすぐった作品を、毎週3作品ご紹介。更新は、毎週火曜日。

読み込み中...
© eiga.com inc. All rights reserved.