劇場公開日 1959年

「シンプル」十二人の怒れる男 じぶさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0シンプル

2017年5月13日
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内容はとてもシンプルですが、とても楽しめるし為になる作品でした。

証拠を反芻して意見を言い合うだけなので密室での会話劇ですが、舞台でいいのでは?と思える映画もありますが、これは映画だから良いのだと思います。

まず冒頭ののスムーズな登場人物の何気ない会話でキャラクターがわかります。
そして議論が始まると実際に議論をした際のあるある、偏見、思い込み、強弁、放棄、人格攻撃、論点のすり替え、ずれ、事実と意見の混合、根拠の無い主張などなどが各キャラクターに合わせて繰り出されます。

そして前提のずれ。
無罪というのは映画冒頭や主人公が言っているように「殺していない」ではなく「殺したと確信できる根拠がない」ということで、
「どこまでを確かであると見なして共有し、
どこからが意見の相違となるか」
を合意しようとしただけ。
他の陪審員は徐々に根拠が曖昧なことに気づき、自分の意見に自信がなくなったり苛立っ行く様子が表情や態度に表れてきます。

悪態をつかれた主人公が心配された時に返した「(あの人は)普通の人ですよ」

上記のようなことは会議などで本当によく遭遇するもので、自分の意見通すのに必死で、客観的には分からない事が多いですものねぇ(自身も含め^^;)

天気や扇風機などの演出で議論の白熱、暗礁に乗り上げた感じ、終わったあとなどの晴れやかさが伝わってきます。

謎ときとして観してまうとさほど驚くようなものではないですが、観るべきものはたくさんあると思います。

自戒のためにも繰り返し見たくなる、そんな映画でした。

骨