アワーミュージック : 新作映画評論

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映画

アワーミュージック

劇場公開日 2005年10月15日
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アワーミュージック 10月15日よりシャンテシネほかにてロードショー

「他者」との共存の可能性を信じて奏でられる“私たちの音楽”

画像

ゴダールの新作は、冷戦の終焉直後に起こった旧ユーゴスラビア内戦の悲劇を象徴する都市セルビアを舞台に展開される。そこで僕らが目にするセルビアは、半壊状態のまま立つビルや壁に残された弾痕など、戦争の記憶が今なお生々しい。ところが、街全体が沈痛な雰囲気に支配されるかと言えばむしろ逆で、どこか開放的な気分さえ漂わせる点が感動的で、そうした明るい雰囲気が――むろんゴダール作品の常として複雑な内容ではあるが――この映画のトーンを決定づけている。

思えば、セルビア人とイスラム教徒の対立が焦点となった内戦で、この都市における複数の民族や宗教の伝統的な共存が壊滅の危機にさらされた。ところがコーランの鳴り響く本作でのセルビアからは、多文化共存の回復が予感され、それを祝福すべくその地を訪れるゴダールも含め2人の若くて美しいユダヤ人女性など何人もの“外国人”を介し、ゴダール作品としては初めて、やはり「他者」との共存に苦しむイスラエル問題に焦点が当てられる。

何度も戦禍を潜りぬけ、再び多文化共存を選択しようとする都市を舞台に「他者」との共存の可能性を信じて奏でられる“私たちの音楽”の勇敢で清澄な調べを、僕ら1人1人が心して聴き取り、そこに参加できれば……と願わずにいられない。

北小路隆志

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ABOUT THE MOVIE

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  • アワーミュージック
  • 73歳になったゴダール監督の最新作。3部構成で、戦争映像のモンタージュ「地獄編」、サラエボを舞台にゴダール自身が本人を演じて、彼の講義に出席した女子学生オルガとの交流を描く「煉獄(浄罪界)編」、殉教したオルガのその後を描く「天国編」が展開。アラブの詩人マフムード・ダーウィッシュ、スペイン作家ファン・ゴイティソーロ、フランスの評論家ピエール・ベルグニウらの実在の小説家・芸術家たちが多数本人役で出演。
  • 原題:
    Notre Musique
    監督・脚本:
    ジャン=リュック・ゴダール
    撮影:
    ジュリアン・ハーシュ
    録音:
    フランソワ・ミュジー、ピエール・アンドレ、ガブリエル・ハフナー
    編集:
    ジャン=リュック・ゴダール
    出演:
    ナード・デューサラ・アドラーロニー・クラメール、ジャン・クリストフ・ブべ、ジャン=リュック・ゴダール
    製作国:
    2004年フランス映画
    上映時間:
    1時間20分
    配給:
    プレノンアッシュ
  • 10月15日よりシャンテシネほかにてロードショー
  • オフィシャルサイト

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