ノー・マンズ・ランド : 新作映画評論

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ノー・マンズ・ランド

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ノー・マンズ・ランド

ノー・マンズ・ランド

5月、シネ・アミューズほかにてロードショー

冷徹な眼差しが卑劣な所行から笑いを誘う

画像

旧ユーゴの紛争を題材にした映画は何本か公開されているが、この映画には画期的というべき魅力がある。「ブコバルに手紙は届かない」や「パーフェクトサークル」、「ボスニア」は、作り手にとって悲劇があまりに身近すぎることが、無意識のうちに映画の表現に限界を設定していた。「ウェルカム・トゥ・サラエボ」、「エグザイル・イン・サラエヴォ」、「ビューティフル・ピープル」は、作り手が、イギリス人、ボスニア系の亡命者や移民という自分たちの立場=距離を作品に反映することで、題材が映画的な広がりを持ちえた。

最前線を体験し、後にベルギーで映画を学んだタノビッチは、紛争を非常に身近に、かつ冷徹な眼差しでとらえる。その冷徹さは、敵兵の遺体の下に地雷を仕掛ける卑劣な所業から、笑いを誘う不条理な状況を生みだす。

皮肉な運命共同体となった兵士たちは、国連軍やマスコミを巻き込み、主導権を奪い合う。一連のドラマからは、感情的な憎しみ、官僚主義や話題性だけの報道姿勢などが次々に露呈し、最終的には人道的な姿勢も人命も無視され、表面的な紛争の図式に覆われる。そして観客が真実とともに取り残されるとき、その図式の虚しさはいっそう際立つのだ。

(大場正明)

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ABOUT THE MOVIE

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  • ノー・マンズ・ランド
  • アカデミー外国語映画賞、カンヌ映画祭脚本賞などを受賞。93年、ボスニア紛争下、ボスニアとセルビアの中間地帯“ノー・マンズ・ランド”に取り残された2国の兵士チキとニノの駆け引きに、彼らの周囲の国連防護軍や、マスコミの動きをユーモアを交えて描く。 監督はボスニア戦争の最前線でドキュメンタリーを撮影した経験の持ち主。キャストもスタッフも、クロアチア、ボスニア、セルビア、英国、ベルギーなど各国の人材が集合。
  • 原題:
    No Man's Land
    監督・脚本:
    ダニス・ダノビッチ
    撮影:
    ウォルター・バンデン・エンデ
    音楽:
    ダニス・ダノビッチ
    出演:
    ブランコ・ジュリッチレネ・ビトラヤツ、フィリプ・ショバゴビッチ
    製作国:
    2001年フランス映画
    上映時間:
    1時間38分
    配給:
    ビターズ・エンド
  • オフィシャルサイト

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