日本沈没 : 新作映画評論

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日本沈没

劇場公開日 2006年7月15日
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日本沈没 7月15日より有楽座ほか全国東宝系にてロードショー

滅亡願望に後ろ髪を引かれた偽りのスペクタクル

画像(C)2006 映画「日本沈没」製作委員会

1973年のオリジナル版は、高度成長を終えて閉塞する時代の終末観を決定づける国民的大作だった。自然災害で国土を失い、流浪の民となる日本民族を生き延びさせようと奮闘する政治家や科学者の情念は、噴き出る溶岩に拮抗するほど熱かった。重厚な群像劇が、科学的説得力に裏打ちされた崩壊の地獄絵に勝っていたのだ。

大震災やテロの悲劇に打ちひしがれ、秩序さえも失われ、あらゆる意味で日本が壊れてしまった今、リメイク版は為政者が早々と犠牲者になり、国家の舵取りさえ覚束なくなる展開はリアルだ。精緻な特撮はハリウッドに引けをとらない。しかし「衝撃のディザスター」と「感動を狙ったドラマ」という2つの画づらは一向に交わっていかない。

これは虚無の時代に希望を灯す心象風景を目指したのに、滅亡願望に後ろ髪を引かれた、煮え切らぬ偽りのスペクタクルだ。興行的要請から客層を意識しすぎたことが敗因か。「ローレライ」で虚構の世代の総括を試みた監督が目指すべきは、「海猿」的な大量消費型商品の製造マンでも、「ALWAYS 三丁目の夕日」的な本編も撮れる画像処理マンでもないはずだ。樋口真嗣よ、同世代が共有する感情を視覚的大作に昇華できる作家になってくれ!

清水節

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ABOUT THE MOVIE

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  • 73年にもオールスターキャストで映画化された小松左京によるSF小説を「ローレライ」(05)で長編劇場映画デビューを果たした樋口真嗣監督がリメイク。日本海溝直下の大規模な地殻変動により日本列島の大部分が海中に沈むという予測が発表され、その発表を前後してマグニチュード8クラスの大地震が連続発生する……。
  • 監督:
    樋口真嗣
    脚本:
    加藤正人
    原作:
    小松左京
    撮影:
    河津太郎
    音楽:
    岩代太郎
    出演:
    草なぎ剛柴咲コウ福田麻由子豊川悦司國村隼石坂浩二大地真央
    製作国:
    2006年日本映画
    上映時間:
    2時間15分
    配給:
    東宝
  • 7月15日より有楽座ほか全国東宝系にてロードショー
  • オフィシャルサイト

(C)2006 映画「日本沈没」製作委員会

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